三話 一年後
一年後から始まります
「ふん、ふふ、ふーん。ふふふ、ふーん」
俺は鼻歌を歌いながら温かいカーペットの上をゴロゴロと転がる。
たまたま店でこのカーペットと出会ったのだが、このカーペット凄く気持ちがいい。
俺には素材とかの良し悪しがわからないが、絶対いい素材を使ってることはわかるぞ。
「ああ、愛してるぜ、カーペットちゃん」
床にひいてあるので抱きしめれないが俺のこの愛はカーペットに伝わったはずだ。
その証拠にほら、こんなにも顔が真っ赤になってるぜ(温かさ)。
「ふー、愛を確かめあってたらお腹がすいたな……」
気が付くと時計の針が十二時を指している。
「なにかあったけ?」
俺は立ち上がり棚をあさりに行く。
えーと、インスタントラーメンにレトルトカレー。
後は………なにもないな。
俺の家ってこんなのしかなかったの? ……そういえば昨日の晩飯はラーメンだったな。
やばい、近い将来このままじゃ確実に病気になる。
やっぱ自分で飯を作らないとダメかー。
俺、料理作ったことないから料理本とかほしいな。
でもそれだと街に行くことになる。
あー、めんどくせ、誰か代わりに行ってくんないかな。
コンコン。
「お?」
珍しいな、この家に客だなんて。
自分で言うのもあれなんだが、俺の家は悪魔の森と言われている魔物がくそほどいる危ない森に住んでいる。
『一歩歩けば魔物が一体、二歩歩けば魔物が二体、三歩歩けば魔物が三体』という歌まで作られたくらいだ。
それほどまでに危ない森にいったい誰が入ったんだ?
俺は遭難者という可能性も考え、走って駆け寄り扉を開ける。
「はい」
「連絡もせずに失礼します。自分の名はライと申します。ギルドから派遣されてき」
「帰れ」
勧誘はお断りです。
最後まで話を聞かずに扉を閉める。
「ああ! 最後まで聞いて下さい! ここまで来るのにどんだけ命を落としそうになったか!」
「しらねーよ。さっさと帰れ」
どんどんと扉を叩く音が聞こえるも俺はそれを無視してラーメンを作り始める。
「お願いします! このままだと魔物に襲われて死んじゃいますよ!」
「勝手に死んどけ」
「ひ、酷い! 貴方ほんとに人間ですか!」
何か野菜も入れないとな。
……ほうれん草でもぶちこんどくか。
「ギャー! 来てる、魔物がこっちに来てる!」
「ここまで来れたんならそいつらぐらい余裕で倒せるだろ」
「何度も命を落としそうになったって言ったじゃないですか! 私そんなに強くないんです! ここまで隠れながら来たんですよ!」
ほう、この森の魔物から隠れながらきたのか。
「やるじゃん」
「えへへへへ。……ってそんな場合じゃないんですよ!」
よし、ラーメンできた。
「助けて下さいって!」
「ラーメンが伸びるから黙ってろ」
「この状況でラーメン作ってるんですか! あと私が喋ってもラーメンは伸びません!」
あいつ魔物に襲われてるのにツッコムなんて呑気なもんだな。
「いただきまーす」
「ギルドマスターから、他の人に興味を示さない人だと聞いてたけどここまでだとは……。お母さん、お父さんすいません。私はここで死にます」
やべ! 超おいしそう! 俺ってみそ味が一番好きなんだよね。
やっぱ味が濃いのがいいよな。
おっと、一味唐辛子かけ忘れてた。
これをかけるとピリッとして美味しいんだよな。
……では改めて、いただきまーす!
「誰か……助けてくれるなら何でも言うこと聞くのに……」
俺は右手で持っていた箸を落とし、指を鳴らす。
すると外から何かが爆発したような音が聞こえた。
「…………え? な、なに。なんでいきなり魔物が爆発したの……」
「お前今言うことを聞くって言ったよな?」
「へぁ! いつから後ろにいたんですか!」
「そんなことどうでもいいだろ。で、言ったのか言ってないのか」
「言いましたけど……」
おし、聞き間違えじゃなかったな。
俺は森を指差して腰が抜けている小娘に言う。
「お前買い物行ってこい」