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二十話 キメラの生息地

遅くなるかもと言いながらあんまり遅くならない。

これがムニエルスタイル。

「ラリー」


「リンカーン」


「アウトドア」


「赤ずきん」


「……梅干し」


「新幹線」


「……足跡」


「トントン」


「つまらないです!」


「スルメン」


 しりとりを始めてから三十分、とうとうライがキレた。

 ライは俺の胸倉を掴み、ゆさゆさと揺らしてくる。


「なんで全部『ン』で終わるようにするんですか! くっそつまんないですよ!」


「だってライがそうしろっていうから」


「言ってません! あと最後の方『ン』で終わる言葉が思いつかないからって言葉を作らないでください! 何ですか『トントン』『スルメン』って!」


「おいしそうだろ?」


「私スルメと豚はあまり好きじゃありません!」


「失礼だろ。謝れよ」


「すいません!」


「……なんで勢いだけで会話してるのよ。周りの人が見てるわよ」


 ライと仲良く会話をしていると俺の頭の上から呆れたような声が降ってきた。

 後ろを振り向くとシロが目を細め、俺を見ている。


「なんで俺だけそんな目で見られなきゃいけないんだよ。ライも同類だろ」


「ふざけたことを言わないで。ライちゃんはロクに乗せられただけでしょ。そうよね?」


「そうです! そうです!」


 ブンブンとライが首を縦にふる。


 せこい奴め。強者に寄生しやがって。

 それがお前の生き方か!


 ……いいなー。俺も寄生したい。


「で、あの三兄弟はどこ行ったの? 帰った?」


「いや、キメラの情報収集に行った」


「キメラ?」


 ああ、そういえばシロには言ってなかったな。

 俺はシロにワーク三兄弟と悪魔の森で出会ったことや、何故ワーク三兄弟がキメラの情報を集めているのかなどを軽く説明する。


「なるほど、母親のために石化病の薬ね。だからキメラの居場所なんて調べてるのね」


「そうそう」


 シロはふーんと呟くと少し考えるそぶりを見せてから俺の方をちらりと見る。


「……ロクはそのキメラ探し手伝ってるの?」


「まあ、流れでな」


 正直に言ってクソめんどくさいけど。

 引き受けたものはしょうがない。

 やらねば(使命感)。


「……じゃあ私も手伝うわ」


「は?」


 こいつ今なんて言った?

 じゃあってなに?(現実逃避)

 皆さん聞こえました?


「もう一回言ってくんない?」


「私もキメラ探し手伝うわ」


 はい、今度ははっきりと聞こえましたね。

 シロがキメラ探しを手伝うと言いましたね。

 ふーむ……。


 止めねば。


「なに言ってんですかシロさん! 貴方様は一日一依頼と言う義務があるじゃありませんか! キメラ探しは何日かかるかわかりません! 手伝うのをやめてみては?」


「なんでそんな口調になったのよ」


「そんなことどうでもいいのです! 俺の心配に返事プリーズ!」


「はぁ、義務に関しては大丈夫よ。さっきマスを脅し……説得して一週間休みにしてもらったから」


 おい、ギルドマスター。

 Sランク冒険者に脅されて義務無しにしてんじゃねーぞ。


「ぐぬぬぬぬ」


「なにその顔? 不満なの?」


「そ、そんなことありません。心配ごとがなくなって安心している顔です」


 ああ……俺の平穏は無事崩れ去った。

 家に帰りたい。








 シロが戻ってきてからさらに三十分、やっとワーク三兄弟が戻ってきた。


「遅い」


「すまん、すまん。ちょっと道に迷っててよ。でも代わりに有益な情報を持ってきたぜ」


「お! もしかして」


「おうよ! キメラの生息地わかったぜ!」


 やるじゃねーかこいつら。

 街中で聞いて、キメラの生息地が分かるなんて。


「何処なの?」


「ん? シロさん俺達の話が分かんのか?」


「俺がさっき説明しといた。手伝ってくれるってよ」


「おお! ありがたい!」


 ワーク三兄弟は手を取り合って喜び始めるがうざいだけなので腹を殴り話を続けさせる。


「で、生息地は」


「腹を殴るなって……。痛いだろうが……。ああ! 言う! 言うから手を握るな!」


 ワークは「悪魔め」と呟くと、腹をさすりながら口を開く。


「キメラの生息地は遺跡だ」

一番好きなゲームはゼルダの伝説シリーズです(唐突)

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