二話 冒険者ギルド
俺はシロに連れられて冒険者ギルドにきている。
「なんですかギルドマスター、俺ってこう見えて暇じゃないんですよ」
「いつも公園で草食ってる奴がなにを言ってるんだい」
俺が草食ってるのは関係ないだろうが。
あとその言い方だと草をバカにしたように聞こえるぞ。
草はな栄養満点で美味しいんだ。
少し泥がついてたりする時もあるがそれはスパイス。
草の味を引き立たせてくれるんだ。
お勧めの草はやっぱり公園の草かな。
なんでか知らないけどあそこの草ちょー美味しい。
みんなもぜひ食べてみろ。
「マスそれで用件は?」
「シロの言う通りだ。ギル早く用件を教えろ」
「二人共、ギルドマスターを略さないでくれるかな……。名前みたいになってるから」
いいんじゃねーの? むしろマスかギルに名前を改名したらどうだ? かっこよくなるぞ。
元の名前覚えてないけど。
「わかったよ、パパっと済ませるよ。……ロクくん」
「あん?」
「君はSランクに昇格だ。おめでとう」
「………………は?」
え? え? え? 聞き間違えか?
あの野郎今なんて言った? Sランク?
は? は? は?
「いきなりだからね、戸惑うのはしょうがないよ。ゆっくりと頭の中を整理するんだ」
「待て待て待て待て。頭の中の整理はもうできてるけど出来てない。どうしてだ」
「なにが?」
「俺は二年間ずっとAランクだったろ? なのにどうして……」
俺はどんな依頼をこなしてもSランクに上がることはなかった。
例えSランクに指定されている魔物を単独で討伐したとしても。
対人戦でSランク冒険者に勝ったとしても。
ど、どういうことなんだ。
「それはね僕が君を推薦したからだよ。他のギルドマスターは渋い顔をしていたけどね」
「推薦?」
「ああ、Sランク冒険者は他の街のギルドマスターと相談して決めるんだよ。大事なことだし。で、少し話は変わるけど君は二年間Aランクだった」
「ああ」
「それはね君の行動が危険視されていたからなんだよ」
危険視? 俺は犯罪なんて一回も犯したことないぞ。
いつも依頼をサボり公園で寝転がってるか、たまに依頼を受けることしかしてないぞ。
「ロク君、一年前に剣を振り回しながら大通りを走ってたでしょ? あれが問題になったんだよ」
「あ……」
……やってたわ、犯罪のようなことやってたわ。
一年前、俺が釣りをしていてやっと魚が釣れたと思ったら猫が魚を奪っていきやがったんだ。
それでキレて剣を振り回して猫を追ってたんだった。
「でもあれは『しょうがないよね』で終わったはずだろ?」
「僕もそう伝えたのさ。でも、みんなに『そんなバカな奴いるわけないだろう』って嘘扱いされてね。あと『しょうがないよね』では終わってないよ。ちゃんと罰金は払ってもらったよ」
細かいことを気にする男は嫌われるぞ。
「それでも僕は君を推薦し続けたんだ。そして一年後、やっと推薦が通って君はSランクになったって訳」
「そうか……」
こいつなのか……Sランクにしたのは。
俺のために一年間も粘り続けたのか。
「ギル、俺は……」
「ロク!」
「ぐふぉ」
突然横からの衝撃を受け俺は吹き飛ばされる。
「やったじゃない! これでロクも私と一緒に依頼を受けれるわね!」
シロが髪をぶんぶん振り回して喜んでいるが俺はそれどころじゃない。
腰がやられた。
すげー、腰が痛い。鈍器で殴られたような感じだ。
「聞いてるのロク! 貴方ももっと喜びなさいよ!」
「聞いてる、聞いてるから俺を叩かないでくれ」
ずんずんと振動がきてるから。
俺の腰がやばいから。
「マス! 依頼受けてもいいわよね!」
「どうぞ」
こらこらこら。
「ま、待ってくれ」
「なによ」
上機嫌なのを止められたのに苛立ったのかシロが俺を睨みつけてくる。
「ギルドマスターに一言言いたいことがあって」
「どうしたんですか?」
俺はいまだに痛い腰をさすりながら。
「今日で俺冒険者やめるわ」
ギルマスカワイソス