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十六話 目と目が合う瞬間

この作品もっと長く続ける予定だったんですが予定よりだいぶ早く終わりそうです。

長いのを期待していた皆様申し訳ない。

「痛い」


「こ、こっちの台詞だ……」


 俺が使った魔法『テレポート』はどこにでも移動できる便利な魔法だ。

 一瞬で遠い場所へ移動できるし、魔力もあまり使わない。

 かの有名なギルドマスター様も習得していることだろう。


 ……しかしこの魔法には重大な欠点が存在している。

 下手したら命にかかわるかもしれない。


 それぐらい重大な欠点それは……。


「移動する場所がわからないということだ」


「「へー」」


 そこの君、これを聞いてクソ魔法じゃないかと思っただろう?

 その通りです。

 便利な魔法とか言ったの謝ります。


 てかさー、何なの移動する場所がわからないって。

 雲の上に移動したらどうするつもりなんだよ。

 真っ逆さまに落ちていってお陀仏じゃねーか。


 この魔法は主にどうしようもない時、緊急時に使われる。

 命に危険が迫ってる時とかな。


「ふー、マジでよかった。雲の上とかに移動したらどうしようかと」


 体をめっちゃ動かさなきゃいけないとこだった。

 まず体制を整えるだろ? そのあと浮遊魔法をかけて落下するスピードを弱めるだろ?


 それから……


「そんなことどうでもいいんだよ……。とにかくどけ……」


「ん?」

 

 俺の真下から弱ったような声が聞こえる。

 下を見るとワークが潰れたカエルのような格好をして俺の下敷きになっていた。


「……新たなプレイか?」


「違うわ……。お前がいきなり空から降ってきたんだろうが……」


「親方! 空から女の子が!」


「降ってきたのは女の子じゃないし、落ちるスピードがゆっくりじゃなかっただろうが……。というかどけ、早くどけ」


「おお、すまんすまん」


 このままラピュ〇ごっこを始めるとこだったぜ。


 俺はワークの上から降りる。


「ああ、死ぬかと思った……」


「大変だったな」


「お前のせいだから」


 おいおい、俺のせいじゃないぞ。

 さっきのテレポートの説明聞いてたか? 移動する場所がわからんって言ったろ?

 俺は悪くない。テレポート君が悪い。








 ワーク三兄弟。

 俺の昔からの友人。

 金を払えば危機的状況を打破してくれる。


「これでよし」


「なんで俺達の自己紹介をしたんだ」


「ちょっとわかりづらいかなと思ったから」


「何がだよ」


 いちいち蒸し返すな。

 お前らの登場の仕方が悪かったからフォローしてやったんだろうが。


「もうこの話は終わり。で、ここどこ?」


「いつも以上になに言ってるかわからねえな……。まあいいや、ここは公園だ。お前いつもここにいただろ」


「え?!」


 俺は周りを見渡す。

 今にも壊れそうなブランコに錆びた滑り台。

 こんなにも遊具が古ぼけているのに何故か居る子供達。


「……公園じゃないか」


「だからそう言ったろ」


 久しぶりに来たなここ。

 まあ一年この街に来てないから当たり前だが。


「なんでこの公園潰れないんだろうな」


「知らねーよ。というかサクッと雑草を食べるのやめろ」


 うまうま。

 やっぱ公園の草が一番だな。

 草茶にして飲みたい。


「……ワーク、ロクさんがテレポート? で上から降ってきたのにツッコミをいれないんですね」


「もう馴れっこだ。こいつが訳分からないのは昔からだからな」


「その言い方だと俺がイカレタ野郎みたいに聞こえるじゃねーか」


「イカレタ野郎だろ。そこら辺の草を上手いとか言って食う奴なんて世界に一人しかいないわ」


 そんなことない。

 俺の草友は世界中にいるぞ!

 ……俺は知らないが。


「ていうかテレポートで思い出した! 聞いてくれよ! ギルが俺を虐めたんだぜ!」


「虐められたって……。お前が虐められるとこなんて想像もつかないわ」


「俺はか弱い男の子だぞ。虐められることぐらいある」


「へー」


 なんだその目は。


「虐められたってどんなことをされたんですか?」


「うむ」


「お、イークとワークお前らは俺の話に興味あるのか。話してやるよ」


 それは俺が起きたところから始まった。








「と、言うわけだ。な? 虐めだろ?」


「「「確かに」」」


 俺の確認の言葉にワーク三兄弟が同時に頷く。


「最低だなギルは」


「人間じゃないですね」


「うむ」


「だろ?」


 マジで死んだかと思った。

 だって、


「「「シロさんを呼ばれるなんてなぁ」」」


「その名前をあんまりいうな」


 あいつは地獄耳だからこの会話を聞きつけてここに来そうじゃねーか。


「どうやってシロさんを呼ばれたんだ?」


「相手と通話できる魔法があるんだよ。それで呼ばれた」


「え? お前一年前、俺なら魔力を完璧に感知できるみたいなこと言ってなかったけ?」


「相手はギルドマスターだぞ。上手く魔力を隠された」


 あれは不覚だった。

 もう一生油断しないからな。


「ふーん、お前も大変だったんだな。俺をさっき踏みつぶしたことは帳消しにしてやるよ」


「そりゃどーも」


 もう踏みつぶしてたこと忘れかけてたわ。


「それでこれからどうするんだ? 帰るのか?」


「当たり前だ。この街にいたら命がいくつあっても足りねぇ」


 すでに失いかけたしな。


「そうか。それじゃあな。キメラの居場所がわかったらまた知らせる」


「おう」


 ワーク達を見送り、俺は最後に懐かしの公園を見渡し帰ろうと……


「?!?!?!」


 俺は急いでワーク達のところへ駆け寄る。


「あ、あ、あ、あ!?!」


「怖い! 怖い! 口と目を開いたまま涙を流すな! どうしたんだよ!」


「め、目が、目があった……」


「は?」


「あ、あいつと目があった」


「あいつって誰だよ」


「あ、あ、あいつ」


「一旦落ち着けって、誰と目があったんだ」


 俺は涙と唾を飲み込みワーク達に伝える。


「シ、シロと目があった」

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