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十三話 森の中

ふと思ったんですけど自分はシリアスよりまったりしている話の方が書きやすいんやなって。面白いかどうかは別として。


追記 文を追加しました(ずんずん進むの次の文から少し)。

   違和感がなければいいのですが……。

   違和感を見つけた貴方様! スルーでお願いします。

「ワークさんこの菓子いります? ロクさんの家から持ってきたんですけど凄く美味しいですよ」


「おお! これ超高級菓子じゃねーか! こんなもんがロクの家にあるなんて……貰っていいのか?」


「大丈夫ですよ。ロクさんなら許してくれますって」


「そうか、なら食べさせてもらうか!」


「駄目に決まってんだろ」


 俺は菓子に向かって手を伸ばしたワークの腹に若干ひねりを加えた拳を打ち込む。

 ワークはまっすぐ飛んでいき、近くの木にぶつかる。


「な、なんてことするんだ……。手をはたきおとすとかあったろ。なんで腹パンなんだよ……」


「イラついたから」


「そ、そんなことでか。腹が痛い。頭も痛い」


 ワークがぶつかった木から栗がぽろぽろと落ちてきて、ワークの頭にこつこつと当たっている。


 天罰……いや、栗罰だな。


 俺が栗罰に納得し頷いているとライがワークに駆け寄る。


「なんてことするんですかロクさん! 菓子をあげたくらいで殴るなんて!」


「それは俺が楽しみに取って置いた菓子なんだ。そう簡単に食われてたまるか。……お前に一つ食われてるけどな」

 

 というかその菓子どうやって見つけたんだよ。

 床の下に隠しておいたはずだぞ。

 しかも蓋を二重にして。


「い、いや、怒らないでくれライさん。殴られるのは当然のことだ。俺がロクのを食べようとしたんだからな……」


「ワークさん……」


「当たり前のことを感動的にするな」


 俺が悪いみたいじゃないか。

 今回は一切俺悪くないからな。


「聞きました? 奥さん。隣のロクさんがワークを殴ったんですって」


「うむ」


「しかも菓子を食べられそうになっただけとか」


「うむ」


「最低ですわよねー」


「うむ」


 イークとルーク、お前ら調子に乗ってふざけてんじゃねえぞ。

 殴られたいのか。








「魔物全く出てきませんね。気配もしませんよ」


「そうだな。二人を連れてきた意味がなくなるぜ」


 くだらない芝居を終えたライとワークがさっきとは違う菓子を食べながら言う。

 ちなみにイークとルークの芝居は継続中だ。


「こう魔物が出てこないと逆に不安になりますよ。ね、ロクさん」


「別に。出てこないなら出てこないでいいじゃん。楽なんだし」


「あれ?! 意見がわれた?!」


 なんで揃うと思ったんだ。


「だってロクさんと私って長い付き合いじゃないですか!」


「短いですが」


「言うなればもはや夫婦みたいなもの! 心が繋がってるも同然です!」


「会って数日で夫婦になる奴なんて見たことないわ」


「もう照れ屋さんなんだからー!」


 つんつんとライがつついてくる。


 その気持ち悪いテンションそろそろ直せ。

 手が出そうになるわ。


「残念ながらライさん、ロクと夫婦になるのは無理だぜ」


「む、なんでですか」


 む、じゃねえ。

 なに怒った感じ出してんだ。


 というかワークが助け船出すなんて珍しいな。

 こいつは金を払わないと動かん奴だと思ってたわ。


「言ってやれよワーク!」


「おうよ! よく聞いとけライさん。ロクはな、シロさんという幼馴染がいるんだよ!」


「関係ねえじゃねーか」


 俺はワークの腹を殴る。


「は、腹にダメージが蓄積されていく……」


「自業自得だろ」


 ワークはそのままぱたりと倒れ、ぴくぴくと痙攣する。

 俺は痙攣しているワークを肩に担ぎあげ、先を進もうと、


「待ってください!」


 したらライが手を広げ俺を止める。


「なんだよ」


「お、幼馴染がいるって本当ですか」


「本当だけど」


 ライは胸を片手で抑え、一歩後ろに下がる。


「お、幼馴染さんは私よりも話しやすいですか」


「話しやすいな。暴力はふるうけど」


 ライは胸を両手で抑え、一歩後ろに下がる。


「じゃ、じゃあ私と幼馴染さんどっちが好きですか」


「そうだな………どっちもいまいちかな」


 ライは何かに耐え切れなかったようにぱたりとその場に倒れる。


 どうしたんだこいつ。


「最低ですね。ロクさん」


「最低だ。ロク」


 突然の暴言に後ろを向くと芝居を終えたイークとルークが真顔でこちらを見ていた。


「なんでだよ。俺はライの質問に答えてただけじゃねーか。完璧な返しだったろ?」


「何が完璧な返しですか。ロクさん、乙女心って言うのを学ばないと」


「うむ」


 乙女心? ……ああ。


「シロで学んだぞ。女が怒ったらとりあえず土下座だろ?」


「……それはシロさん専用です。あとそれは乙女心と言うのか怪しいです」


 なんだよ、俺の乙女心知識が間違ってるって言うのか。

 失礼な奴め。


「もう乙女心の話は終わりだ。俺が楽しくない。さっさと街へ向かおう」


 俺は転がっているライを頭に乗せ、ずんずん進む。


「……凄いですね。その乗せ方」


「だろ? 俺の奥義の一つ『頭に乗せーる』だ。やり方は簡単。自分の頭の上に乗せたい相手の腹をセッティング。そしてそのまま手を放す。バランスがよければ自由自在に動けるぞ。良い子も真似してみよう」

 

「絶対に真似しちゃダメなやつですね。というかなんでライさんを頭に乗せるんですか。もう片方の肩に乗せればいいでしょう」


「邪魔になるんだよ」


「なんのですか」


 俺は右手をみせる。


「……なんで指鳴らしてるんですか」


「お前たちの安全のためだよ」


「訳がわかりません」


「わからんくていいわ」


 ……そろそろ指が疲れてきたな。

いつになったら街へ行くんだって? ははははははは。

…………すいません。


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