十二話 動く主人公
短いです
まあしょうがない。
ライにほぼ強制的になにかやらされるのも今回が初めてじゃないしな。
諦めよう。
「キメラ探しを手伝うのは百歩譲っていいとして、キメラの生息地はどこだ? 場所を教えてくれないと俺は動かないぞ」
「生息地を探すのもキメラ探しに含まれるんじゃないでしょうか……」
うるさいわ、小童め。
あっちこっちへと移動するのがめんどくさいんだよ。
「まあ、生息地については情報収集しかないわな。そこら辺の本に載ってるわけでもないし」
「魔物図鑑なんてもんなかったか? 子供の頃に読んだろ?」
魔物の生息地や好物とかが詳しく載ってたような気がするんだが。
「ロク、あれは適当に書いてあるだけだぞ。要するに嘘だ、嘘。まだあんなもん信じてたのかよ」
「げ! マジか!」
知らなかった……。
ずっと本当のことが書いてあるのかと思ってた。
クソが、書いた奴め、許さぬ。
子供の夢を返せー!
「ぷぷっ! ロクさんにもかわいいとこがあったんですね」
「うっさいわ。ぶん殴るぞ」
「ぶん殴るなんて言葉使っちゃいけないんですよ!」
ライはニヤリと笑いながら俺の周りをくるくるとまわる。
う、うぜぇ……。
何がうざいかって意味もなく俺の周りをまわるのがうぜぇ。
あと時々俺をつついてくるのがうぜぇ。
ほんとにぶん殴ってやろうか。
「ロクさんをからかうのはここまでとして、情報収集ってどうするんですか? キメラの生息地なんて知ってる人います?」
「問題はそこだよなー。冒険者ギルドに依頼をだしてもいいんだけど時間がかかるからな。ロク、いいアイディアないか?」
「いいアイディアって言われてもな……。そこら辺の人に聞くしか道はないんじゃないか?」
そこらの人がキメラの生息地を知っとるかどうかは知らんが。
「非効率だ! ……と言いたい所だがそれしか思いつかないな。よし、ロクのアイディアで行こう!」
完全に運任せの情報収集になりそうだな。
「ではタートの街へいざゆかん!」
「おー!」
「うむ」
「じゃあな」
俺は手を振りワーク三兄弟を見送ろうと。
「待てや、どうしていつもサラっと消えようとするんだ」
俺はワークにガッチリ肩を掴まれて、動けな……動けたわ。
力弱すぎだろ。
「俺はキメラの生息地がわからない限り動かないって言ったろ。お前らが情報収集してこい」
「そういう問題じゃないんだよ。俺達はこれから悪魔の森を抜けるんだぞ。護衛がいないと死んじまう」
しょうがねえな。
「ライ、こいつらを森の外まで送り届けてくれないか」
「それは無理です」
「なんでだ?」
「守り切れないからです。さっきの狼達は弱かったからよかったものの、それ以上の魔物がでてこられると自分以外の身の安全が保障出来ません」
「えー、弱っちいなー」
「うるさいです!」
たく、役に立たない奴らばっかだな。
なんで俺がうごかなきゃいけないんだ。
「はぁ。森抜けるまでだぞ」
「おお! ついてきてくれるのか!」
仕方なくだ、仕方なく。
「ロクさんが動くなんて珍しいですね? なにか悪いものでも食べました?」
「黙ってろ」
失礼な奴め。
俺の気分を下げるな。
「じゃあロクとライさん行こうぜ。この二人がいれば安全だ」
「ワークお前俺に金を払えよ。ただじゃないからな」
「ロクさん! 僕達情報屋に大金持ってかれたんで勘弁してください!」
「うむ」
「知るか」
「酷いですねロクさん」
うるさい道中になりそうだ。
あけましておめでとうございます。
気分で小説の出来が変わる酷い作者ですがこれからもよろしくお願いします。




