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プロローグ

薄くピンクに光る石がはまった腕輪を、サーシャは隠すかのようにグローブをはめた。

背中に大剣を2本、細剣を1本。太ももに細身のナイフを3本刺し、ブーツを履く。どれも鈍い光を放ち、レアアイテムをさらに磨き上げた、般人には手の届かない代物ばかりだ。

鎧の耐久を確認してから装備し、サーシャは腰にヒップバッグをつけると家のドアをあけた。


ここはフルダイブタイプのMMO、ラームフルオンラインの世界、ラーミャ。

モンスターを倒しレベルを上げ、ボスモンスターを相手にしてレアアイテムを入手する。

あるいは洞窟奥に潜りトレジャーを漁り、一攫千金を狙う。

はたまたアイテムを精錬し研ぎ澄まし、磨き上げることに時をかける。

ありとあらゆる人種の趣味嗜好を網羅した≪LFO≫は、正式サービス開始より5年経った今も、常時接続人数1位の人気MMOである。


サーシャは迷うことなく経験値を稼ぐために洞窟へ向かった。ここ3年毎日行っているレベル上げのために。

いくつかの補助魔法を唱えると背中の剣を引き抜く。ロクに前も見ず剣を振るうと目の前のモンスターは2,3発で倒れていく。小走りでさらに奥へ。

アイテムを整理し、補助魔法をかけなおしサーシャは再び機械的な動きでモンスターをなぎはらっていく。

サーシャは経験値バーを見もせず、特に感情を持たずにひたすらにモンスターを倒していく。


通常、人々はだいたいがレベル90もいくと経験値稼ぎをやめ、違う楽しみを見つけ狩場から去っていく。それ以降の適正狩場がないこと、現在実装されている(ボスを含めた)モンスターがどれも討伐可能になること、が理由といった所か。

しかし、サーシャの現レベルは126をも超えた所であった。


経験値バーが30%に達したところで、サーシャは一つ息をつくと『リバーシ』を唱えた。洞窟に訪れてから15時間が経過しており、リアルの時間で午後4時になろうかという所。

サーシャは一般人の接続人数が増える時間帯に狩りはしない。人が増えラグが起こるし、リポップモンスター比率が下がり経験値効率が下がるからだ。


それとも再会してしまうのが怖いのか?


待っているのか、逃げているのか···。


サーシャは何かの儀式のようにグローブの上から左手首をそっとおさえ、目を閉じた。

次の瞬間には、サーシャの顔に迷いはなかった。

次回12/17更新

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