始まり
初めての投稿兼初めての執筆で文章のミスなどかなり目立ちますが、色々修正を加えていって少しずつ書いていきたいと思っています。
「昔、世界樹プロジェクトというものが行われた。それは元々は人類の希望であった。だが、プロジェクト開始とともに起こった不運な災害で計画は敢え無く失敗。同時に人類はその災害による大気、土壌の汚染で住処を追われ現在は『コクーン』と呼ばれるドーム状の施設のおかげで二百年の時を生きながらえている。」
「それが、私達がこの『コクーン』の中で暮らしてる本当の理由ですか?」
まだ何か腑に落ちない点があるのか彼女、霧崎澪は質問を続ける。
「そうは言われても霧崎さん、僕もあまり知らないんだよなあ。そういえば...」
少し困った顔をしつつも教師としての務めを果たそうとしてなのか坂口義人は言葉を続けた。
「噂なんだけど『コクーン』の外の世界、通称『フォレスト』には化物がいて人間を襲って食べちゃうらしいんだ!!まあ、誰が流したかもよく分からない噂だし信じなくていいよ。あんな深い森の事を普通にフォレストとか言っちゃう点なんか胡散臭いしね。」
澪の硬い表情を崩そうとしてなのか義人は笑いながらその噂話をした。
途端、澪の表情が凍り付き、拳を強く握りしめた。
義人はそれを見て何かを察したのか澪に問いかける。
「私達の住んでる『コクーン』とはなんなんですか?なんて質問いきなりしてきてどうしたのかと思ったが、まさかお前何かを見たのか?」
義人がそう問いかけると澪は俯きながら答えた。
「穴...穴が開いてたんです。」
穴?っと義人はよく分かってない様子であったが澪は言葉を続けた。
「壁に穴が開いてたんです!!その穴から!手が、手が伸びてきて!一緒に居た凜が、凜が!」
感情が高ぶってきたのか先ほどまで冷静なようにも思えていた澪が取り乱し始めた。
義人は取り敢えず落ち着かせようと親が子を落ち着かせるように澪を抱き寄せる。
「落ち着け、落ち着け。何があったのか順を追って説明してくれないか?君は昨日何をしていて櫻田さんに何があったんだ?穴ってのはどこにあったんだ?」
震えながらも冷静さを取り戻したのか澪は何があったのかを語り始めた。
「昨日私は凜と一緒に放課後、凜のペットの太郎を散歩に連れて行ってたんです。」
そして、太郎を散歩させていたら突然首輪が千切れて太郎が逃げてしまったので私達は追いかけました。と澪は続けた。
「探し回って私達は『コクーン』の西区の壁の所まで行きました。」
『コクーン』には北、東、南、西に区があり北に唯一の外界との出入り口がありそこは軍に統括されていることを義人は思い出していた。
「西区の廃棄工場の裏に続く道で私達は太郎の足につけてたタグを見つけ、その付近を捜していました。タグに血みたいなものがついていてなにか嫌な予感がしたので私は太郎はそのうち帰ってくるだろうから戻ろうって凜に言いました。言ったのに、言ったのに!」
また感情が高ぶってきたのか澪の口調が激しくなる。
しかし、義人が宥め澪は少し落ち着きを取り戻したようで話を続ける。
「血の跡があったんです。それを追っていくうちに私達は『コクーン』の壁の一点に血がついてることに気付きました。」
そこで見つめなければ良かった。すぐに逃げれば良かった。と澪は小声で繰り返す。
「血の跡なんかじゃなかった、穴が開いていてあいつがいたんです、あいつが、あいつが!!」
澪は拳を握りしめ震えながら、涙を流しながら、更に続けた。
「血なんかじゃなった、《生物》の皮膚だったんっです!!気づいた時には穴に近づいてた凜は凄く長くて血のように赤い手に身体を掴まれてあの穴に、、、凜の悲鳴とその後にお、音が!!音が!!!」
澪はこれで全部ですと言い青ざめた顔で義人に質問した。
「『コクーン』は私たちを一体《何》から守るために作られたんですか?」