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先輩、すいません!
ぼくとバスケ部の一年が、体育館の用具倉庫の前で押し問答をしていると、次第に体育館中の注目を集めてしまった。
ま、まずい…
そう思いつつも、ぼくは倉庫の前を動けなかった。
倉庫の中では、美島さんが着替えの真っ最中だったからだ。
ついに、バスケ部の赤石キャプテンがやってきた。
後ろから、他の部員たちもついてくる。
よく見ると、バスケ部だけではなく、バレー部の連中も混じっている。
赤石先輩は、ぼくの目の前に立つと、
「なにしてる? なぜ、卓球部が我々の邪魔をするんだ⁉︎」
腹の底から響くような赤石先輩の声が、体育館にこだました。
部活を邪魔されて、怒っているようだ。
怖い…
なにしろ、赤石先輩は身長195もある。
上背だけでなく、身体の横幅もレスラーみたいにでかい。
バスケでは、県の代表選抜メンバーにも選ばれているほどの実力者でもある。
そんな赤石先輩に怒鳴られて、萎縮しない奴なんて、この学校には一人もいないだろう。
しかし、それでもぼくは、そこを動くわけにはいかなかった。
「先輩、すいません!用具倉庫は卓球部が使用中です!」