なんの騒ぎですか、先輩?
「聞こえたでしょ? 倉庫の中からボール出さなきゃならないんですから、そこをどいてください」
バスケ部の一年は、そう言って、はるか上からぼくをにらみつけた。
身長185はある一年は、キャプテンに怒鳴られて、かなりイラだっているようだ。
だがしかし、そう簡単に倉庫の前から動くわけにはいかない。
なにしろ、なかでは美島さんが着替えの真っ最中なのだ。
「どけない。この倉庫は、いま卓球部が使用中なんだ」
ぼくは、身長185センチの一年に、そう言った。
「なに言ってんすか⁉︎ 用具倉庫は、全運動部のものでしょ!」
一年は、そう力強く言うと、なかば無理やりぼくを押しのけて通ろうとする。
彼の言っていることのほうが正論なのだ。
しかし、それでもぼくは動かなかった。
動けるわけがないのだ。
そうやって、ぼくと一年が押し問答をしていると、バスケ部の赤石キャプテンがそれに気づいて、あの野太い声で叫んだ。
「そこ! なにやってる⁉︎ ボールはどうした?」
「いや、それが、この人が倉庫の中に入れてくれないんです」
キャプテンから怒鳴られて、顔を青くした一年が、思いっきり困った声で叫んだ。
「なんだと⁉︎」
赤石キャプテンが叫び返す。
まずい…
体育館中の注目を集めてしまった…