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おそるおそる扉を開いた少女は、突然の父親の罵声に肩を跳ねあがらせた。
「何やってるんだ!せっかくお前みたいなのを引き取ってくれる家を見つけたのに契約を消されたんだってな・・・!?」
「!な、なんでそれを・・・」
「我々、“魔人”の末裔が魔法を感じることが出来ないとでも思ったか?」
少女はただ、身を縮こまらせて怒号に耐える事しかできない。
それでもちらりと顔を上げると、冷めた目つきで、ゴミを見る目で自分を見つめる父親の手に握られた半透明の水晶玉が目に映った。
「もういい。お前がうちにいたって、私たちの名が汚れるだけだ。―出ていけ」
「・・・え」
「出ていけ。邪魔だ」
逆らいたい。自分はどうしてこんな身なのか、聞きたい。だけど、ダメだ、殴られる。だから、少女は森の中に一人出て行った。
「・・・さびしい。魔法って、こんなことのためにあるの・・・?それとも、変わってしまったの?」