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‐ソキウス、集合‐

日曜日。

今日は【ソキウス】年度初の全員集合の日である。

メンバー数は全国のアライアンスで一位らしい。

少々長くなるが俺、涼野すずのれい南雲なぐも華琉はる、LAST・B・アルカディア、八龍やりゅう威駆佐いくさ、ゼノン・C・デスロスト、エレクトラ・N・ロータス、風庵寺ふうあんじあや小山こやま冬月るな関帝かんてい朱玄しゅげん、ダウンファール・Z・デスムーン、神鳴かみなりつるぎ霞光かすみびかり春豊はるとみ嵐草らんそう夏羅げら秋風あきかぜ青嵐せいらん光華こうかれん、タイガ・ドラコ、シルバ・アイトネ、ブライア・H・デスティン、トパーズ・S・アエーデ、凍地いてちあい、シャロン・ライト、サエッタ・I・イーグニスに他校生の院十夢いんじうむりん皇羅おうら武劉ぶりゅうの約30人に加えて今回加入した関帝かんてい紫玄しげん秋風あきかぜ流華るか八龍やりゅう夜尉葉やいば、そして顧問(?)の日暮ひぐらしごう先生を含むのがメンバーだ。

…全員は覚えなくていいと思う。俺も覚えてない。

「そろそろ皆来るはずだけれど…。」

冷が玄関からきょろきょろと見回すと、第一陣が高級車に乗ってやってきた。

能力者はいろいろな免許が緩和されているため、16歳になれば大体の免許は所得出来る。

最初に到着したのは、ゼノンを筆頭に外国人組だ。

夜尉葉が口を開けていた。

「…あの人たち、何者なんだ…?」

「俗に言うお金持ち。」

金持ちどころのものじゃないけどな。

「おっす。」

ダウンファールが短く挨拶をして俺に声をかけてきた。

「どこに集合?」

「エレベーターで地下一階。親父の専属大工(?)に頼んで本部を増設しておいたから。」

ぞろぞろと別荘に入っていくみんな。

次はバイク5台くらいがやってきた。

八龍たち5聖家の人間だ。

「…冬月もバイク乗れたっけ?」

「乗れるよ。」

…こうやってみると、駐車場が広くてよかったと思う。

まだバス4台くらいの余裕がある。

ほかの人は徒歩かな?

そう思っていた矢先、まるで某仮面ヒーローのようなオートバイが二台、門の前に現れた。

「…こんにちは、NEXT。」

皇羅と…日暮先生か。

「迷ってたら皇羅に呼ばれてな。」

「まあ、大きい割には目立ちにくい場所にありますからね。…君の家は。」

ステルス性重視だよ…。

広大な敷地なんだから隠さないと…。



「…全員集まったな。」

ちょうど正午だ。

「じゃあ…まずは新しく入った1年生と日暮先生。自己紹介をお願いします。」

司会進行はゼノン。

「…八龍夜尉葉です。よろしく。」

「関帝紫玄…(?)です。前々からお世話になっていましたが、よろしくお願いします。」

紫玄は名字をなんと名乗ればいいのか戸惑っていた。

「紫玄って、学校にはなんて登録してるんだ?」

「…一応、関帝の名前でしてるけど。」

ならそれでいい。

「えと…秋風流華です。」

どさくさに紛れて流華ちゃんが呟いた。

最後に日暮先生が一言を言い、ゼノンが立ち上がる。

ここ地下一階は、改築に改築を重ねた結果、地下要塞のような見た目になってしまった。

出来るだけ戦略会議室に似せたつもりだ。

「…で、今年の目標を考えようか。…先生も入ってくれたことだし、俺たちに出来ることを少しでもして行かなくちゃな。」


話し合いが終わった後は練習場にて、日暮先生に稽古を付けてもらったのだが…。

日暮先生は拳を金属に変えるという能力を所有していたらしく、冷の斬撃でさえ腕で止めてしまう。

冷は「ルールに乗っ取った試合上、剣士の中で一番強い」剣聖だ。

だから、冷にはまだまだ強くなると思う。

「…拳が最強だから、ほかの場所をねらえば…。」

何人かがそう思っていたが、日暮先生は見事というほどにそれに対応していく。

「紫電一閃!」

紫玄の紫電に先生は鉛で対抗。

しかも金属だから殴打が直撃するとたいていの人はノックアウトする。

想到エグい音もするが、彩がすぐに回復に向かっていた。

「秋風、やらないのか?」

「…手合わせか?…したいけど、彩の手伝いもしなければな…。」

それでも良いから行ってこいというと、秋風は頭を掻きながら先生の前にたつ。

モーニングスターの『ZEUS』が、青い稲妻を走らせた。


飛雷秦ひらいしん!」

秋風が、日暮先生に向かって竜巻状の雷を発射した。

空・風属性の吹き飛ばし効果と、雷属性の硬直効果でほぼ無抵抗のまま攻撃を受ける形にするのが目的のその技は、日暮先生を難なく吹き飛ばす。

「…ふん!」

壁に足を置き、それを動力にして移動する日暮先生。

しかし秋風は、いっさいの躊躇もせずにモーニングスターを降りおろした。

バキンと変な音がして全員が一斉に振り向く。

そこには、根元から折れた『ZEUS』の姿があった。

「…武器より強いのか…あの拳は…!」

ゼノンが自分の戦斧と先生の拳を交互にみて体をふるわせていた。



「NEXT君、ちょっと来て。」

訓練も終わり、自由解散となった頃に冬月が俺の手を引っ張った。

「ん?」

「ちょっとだけでいいから。」

冷が心配そうな目で俺を見つめる。

その目に心配ないから、と無言で伝え、冬月についていく。

彼女はエレベーター前の小部屋で立ち止まった。

「…どうした冬月。」

「…私、今年は銃も扱えるようになりたいんだ。」

冬月のその決意表明に、少し感動する。

「もっとNEXT君に実力で近づきたい。…だから、がんばる。」

「…冬月なら出来るよ。」

きっと彼女なら俺を越えると思う。

彼女だけではなく、【ソキウス】の皆は常に上に向かっている。

…俺も、もっと強くなりたいから。

「エレクトラさんに、どんな銃が相性いいのか聞いてくる。…努力するから…、期待してね。」

その言葉にはほかの意味も含まれているような気がして。

「冬月…?」

「やっぱり、NEXT君には全部わかっているのかな…?」

頬を桜色に染めて俺を見つめる冬月。

「…もっとNEXT君に私のことをみてほしい。5聖家の一角、小山家の次期当主としても、【ソキウス】の四本柱の一人としても、天王子学園2年の四天王としても…、一人の女性としても。」

最後の一言がやけに強く感じた。

「…わかった。」

冬月はその言葉を聞くと、にっこりして練習場に戻っていく。

しかしエレクトラは帰っていて、冬月が気落ちしたのはまた別の話。




数日後、ゼノンから電話があった。

「どうしたんだよ。お前から電話が来るなんて珍しいな。」

『…よく聞いてくれNEXT。今から俺の部屋に来てほしい。』

尋常じゃない響きが言葉の中に含まれていて、思わず聞き返す。

「どうしたんだ?」

『父親から、火の属性宝が届いた。』


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