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3.形骸/泡
「形骸」
いつから君に触れていないのか忘れた
薄い肉の下の骨の感触を忘れた
記憶をさらっても出てこない 君の胸郭の形
だから夢に出てくる君にも触れられないのか
もともと夢になど見ることは少ないけれど
君は僕に会いたいだなんて思っていないということかな
僕ほど と言いたくとも僕も
君に会いたいのかはもうわからない
最後に君に触れたときの温度も忘れたから
せめてそれくらいは覚えていたかったかもしれない ね
「泡」
君が僕を好きになってくれるなら
そうだと僕にわからせてくれるなら
僕はもう何もいらないんだよ
次の瞬間にはこの世界から消え去っても
心も体も君の記憶からも
だってそれは幸せのてっぺんだから
そのままビルから飛び降りるように消えてしまいたくなるよ
君に嫌われることを怖がるようになると思うから
その前にいなくなりたいよ