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21.慈愛
これはきっと告白にして懺悔
人に知られてはいけないこと
君は僕を許してくれた
けれど僕は赦されたかった
他の誰でもなく君に赦されたかった
肉親が
司法が
世界が神さまがなんと言おうとも
君の赦しと断罪以外受け入れたくはなかった
この罪の重さなど君はわからないだろう
歩けなくなるほど
眠れなくなるほど
息がつまるほどこれは重い
こんなもの君にわかられたくはない
決して知られてはならない
それは君が幸せに生きるために
僕が僕に定めた掟
宙を漂う塵も光がさせば舞い散る金の粉に変わるのに
僕ときたら君を思うときすら へどろと変わらない
生きているものを解き放つことが慈しみ愛することだというなら
それを確かに身をもって君は教えてくれた
そして僕を許してくれた
よりそう温かさも
泣くための場所も
深い眠りも与えられながら
足ることを知らなかった僕を
けれど
けれど僕は君の赦しと断罪の他は
だから今僕はすべての報いとして
君のそれに似た鼓動が
体中に響くのを聞きながら眠りゆく