男としての学園生活
転校して間もない時期にやってくる組織からの連絡、その仕事の途中で起こる事件でいろいろな関係が変化していく・・・
さて、今回から少しシリアスな場面も増えてきます。作者はあまりシリアスな場面は書かないので、雰囲気ぶち壊しな箇所もあるかと思いますが、それが作者の特徴だと思って読んでもらえれば、と思います。
一刀「今日からこの学園に通うことになりました如月一刀です。よろしくお願いします」
あまり目立たないよう、できる限り普通の学生らしく挨拶をする。
担任「それじゃ、奥の空いてる所に座って」
言われた通り誰も座っていない机へ向かう。そのあといろいろと連絡事項を話した後担任は教室から出て行った。そして恒例の転校生に対する質問攻めが始まった。
さすがに今まで何度も転校してきただけあって質問攻めにも動じずに答えられるようになっていた。
一刀(初めてのころはボロが出ないか不安で仕方なかったのにな・・・)
しばらく質問に答えているといきなり周りの人達が遠ざかった。どうやら誰かを避けているらしい。
慎二「やぁ、初めまして僕は慎二っていうんだ。ダーリンって呼んでくれればいいよ」
一刀「・・・なるほど」
すぐに周りの人達が遠ざかった理由を理解した。どうやらこいつが原因らしい。
慎二「どうしたんだい?そんなに僕の顔を見つめて、もしかして僕のことが好きになったのかい?」
一刀「好きになんかなるはずないしむしろ嫌いになった。それにお前の顔を見つめてもいない」
慎二「そんな照れなくてもいいんだよ別に、むしろ大歓迎さ!」
良く考えるとこいつがいればあまり人と関わらずに済むか・・・
一刀「そうか、なら俺の半径10m以内に入らなければずっと近くにいてくれても構わない」
慎二「それって近くにいけないよね・・・・」
一刀「さて、授業の準備をするかな」
そういって授業の準備をし始めると慎二はちょうど10m位離れた場所まで行ってこちらを見つめ始めた。正直とても気持ち悪い、おかげで周りの人はいなくなったが。
そして昼休み、一人で食堂に行こうとすると4人ぐらいの男子が近寄ってきて一緒に食べにいかないかと誘いに来た。普通なら愛想よくOKする所だが俺はできるだけ一人でいたかったので丁重にお断りすることにした。
だが流石に毎日それをしていると周りの人の反応も変わってくる。今までの学園でもそうだった。誘う度に断られていたら最後にはさそうことをやめる。そして俺は一人になれる・・・はずだった。
この学園の生徒は今までとは一味違っていた。俺が誘いを断っていると今度は食堂で待ち伏せをして同じ席に座るようになった。同じ席に来るな、なんてことも言えないので仕方なく同席で食べることになった。
さらに遊びの誘いも断り続けていたら今度は俺の帰る時間に合わせて集団で下校するようになっていた。
一刀(そういえば最後に誰かと一緒に下校とかしたのはいつだったっけな・・・)
人との関わりを極力避けるようにしていた俺は「誰かと一緒に」なんてことはほとんどなかった。
それが一番悲しまなくて済む方法だと思っていたから、そうしないといつか悲しい思いをしなくちゃいけなくなるから。
一刀(俺も不思議な力がなかったらこんな風に笑いながら生活を送れたんだろうな・・・)
だがそれはあり得ない、使わないで生活することはできるが組織の命令が下ればすぐにでも動かなければならない。そうなればやはり普通の生活はできない。でも・・・
そんなことを思っているといつの間にかクラスメートはいなくなり、自分一人になっていた。
一刀「・・・学園に戻って着替えないとな」
そういうと再び学園へと戻って行った。
女子寮に戻ると寮のメンバーが食事を並べて待っていた。
那美「お疲れさまー、今ご飯いれてくるねー」
そういってご飯を入れに行ったのが2年の羽生 那美、女子寮の炊事役であり母親のような存在。
香蓮「ちょっと有希さん!私のおかずをとらないでください!」
そしていま叫んだのが3年の野々宮 香蓮、被服部の部長で結構なお嬢様らしい。
有希「へへーん、取られる方が悪いんだよーだ」
今おかずを口に入れたまま走り回ってるのが1年の三枝 有希、女子寮で唯一の1年であるが、言動や行動はどう考えても年下ではない。
茜 「有希、そんなことしてたら那美に怒られるよ?」
鷺沢 茜、女装した主人公、つまり如月一刀である。女子寮での名前。
那美「有希ー?なにしてるのかなー?」
那美は笑顔で有希に迫っている。正直ものすごく怖い。
有希「あーいやーあのーえとですね、香蓮さんがおかずが食べきれないって言ってましたので代わりに食べてあげたといいますかなんというか・・・」
那美「次やったらご飯抜きだからね?」
有希「ごめんなさい・・・・」
そういうと有希はおとなしく自分の席でご飯を食べ始めた。この寮の中で料理ができるのは那美だけだから逆らうと本当にご飯が食べられなくなる。ある意味寮長より位の高い位置にいるかもしれない。
茜 「ごちそうさまー」
そういうと食器を流し台の方へ持って行ったあと、2階にある自分の部屋へと戻って行った。
一刀「疲れた・・・」
そういって制服から私服に着替えていると組織から連絡があった。
一刀「また仕事か・・・・」
転校して間もないこの時期に仕事があるということはおそらくまたあいつだろう。
そう思いながら携帯をとり、本部からの連絡を聞いた。どうやらあいつが町に出現したらしい。
それだけ聞くとすぐに服を着替え、窓から外に飛び出した。
一刀「頼むから誰もいないでくれよ・・・・」
そう願いながらあいつが出現した場所に急いだ。そして願いは叶わなかったことを確認した。
那美「な・・なにこれ・・・」
そこには人の形をした影と那美が向かい合って立っていた。
一刀「よりによって那美がいるなんて・・・」
ここで那美を助けに入れば今までと同じ、きっと俺は恐れられこの町から追い出されるだろう・・・
せっかくあんなにいい奴らと出会えたのに、また別れなきゃいけないのか。それは嫌だ、短い期間でも俺と一緒に過ごした奴らと別れるのはつらいに決まってる。ならいっそ、那美を助けないでいれば・・
助けないで見て見ぬふりをすれば俺はばれないで済む、そうすれば・・・・
那美「こないで・・・・こないでー!」
その声を聞いた瞬間今まで考えていたことを忘れて飛び出していた。
一刀「伏せろ!那美!!」
那美はその声を聞くと頭を抱えてしゃがんだ。そしてその上を通りそのまま影に向かって一撃をくらわせる。
影 「グッ・・!!」
そのまま影は後ろに倒れた。
那美「如月・・君?」
一刀「大丈夫か?那美」
那美「う・・うん大丈夫」
一刀「絶対に俺の後ろから離れるな、分かったな」
那美「・・うん」
さっき倒れた影がゆっくりと起き上がろうとしている。今なら・・・
一刀「天を司る光の聖霊よ、我に力を・・闇を討つ力をあたえたまえ!」
そういうと影へと向かって光の力をこめた一撃を打ち込む。
影 「グッ・・ガァァァァァァァァァ!!」
影は叫ぶとそのまま灰になって消えた。
一刀「・・・ふぅ、もう大丈夫だな」
那美「あの、如月君」
一刀「今は何も言わずに帰ってくれ、明日にでも説明する」
那美「・・・・・わかった」
そういうと那美は女子寮の方へ帰って行った
一刀「・・・下級兵だな、影もそこまで早く追いついては来れないか・・・」
しばらく周りを確認した後携帯を取り出し組織へ連絡をする。
一刀「こちら一刀、影の討伐を完了した」
組織「了解、今救援部隊がそちらに向かっている。建物などの修理はそちらに任せておけ」
一刀「了解」
携帯を切るとゆっくりと女子寮へ向かっていった。
一刀(明日には俺は町を追い出されるだろうから、今日ぐらいゆっくり休もう・・・)
次の日の朝、一刀は部屋の片づけをしていた。すぐにでもこの町を出ていけるように・・・
そして一刀は早めに学校に行き、校長に退学届を出しに行くことにした。・・・追い出されるより、自分から出て行った方が辛くないから。
そして学園に着いたときに誰かが校門の前に立っているのに気がついた。
一刀(こんな時間に誰が・・・・?)
一刀が近付いていくとそこには那美が立っていた。
那美「あ、おはよう」
一刀「お・・・おはよう」
那美「あの・・・昨日のことなんだけど・・・ちょっといいかな?」
一刀「ああ、教室で話そうか」
そういうと二人は教室へ入って行った。
那美「あの、昨日はありがと」
一刀は驚いた、今までそんな反応をした人がいなかったから。
一刀「昨日の、見てなかったのか?」
那美「見てなかったって何を?」
一刀「俺の力だよ、影に向かっていった時の」
那美「ああ、見てたよ」
一刀「ならなぜ俺のことを怖がらない?今まで俺の力を知った奴はみんな俺から離れて行った。なぜお前はお礼なんか言うんだ・・・」
那美「たすけてもらったんだもん、お礼を言うのは当然だよ。それに如月君、あの時とってもカッコよかったよ。私を守ってくれたんだもん、怖がるはずないじゃん」
那美は笑顔で答えた。
一刀「羽生・・」
那美「ごめん、如月君、日直があるから行くね」
そういうと那美は自分の教室まで走って行ってしまった。
一刀「・・・かっこいい・・・・か」
そういうと自分の席に座り、クラスメートが来るまでの数分間、今日くらいは誰かと遊びに行こう、そんなことを考えながらクラスメートを待っていた。
さて、ここまではほとんどノリで書いていましたが次からはほとんど何もないのでどうなっていくかは作者にも分かりません。
できる限り早く書いていこうとは思いますが、どうしても文章がうまく書けないため更新は遅くなるかと思われます。
どうかゆっくりと作者にお付き合いいただければと思います。