表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。

余が一番であると言え!

作者: 白盾
掲載日:2026/02/14



 赤いリボンのラッピングが目立つ個包装されたチョコたち。

 それが入った木箱を抱え、お世話になっているマモンの根城へやって来た。



「マモン、ハッピーバレンタイン!

チョコ作ったから、みんなで食べてね」



 ゴスロリのワンピースに身を包む少女の姿をした悪魔は、興味深そうに木箱を覗く。

 仕草に合わせて、銀髪のツインテールがふわりと揺れた。



「ほー?ばれんたいんというのは、このお菓子を貰える催しなのか?」

「そうだけど正式には、好きな人に贈るんだよ。

今は、家族はもちろん友人同士で渡したりもするけどね」

「想い人……だと!?」



 きょとんと彼女を見つめた。

 変なところで反応するものだから、少し意外だ。

 普段は、人間の生活には興味なんて示さないのに。



「マモンも作る?」

「なぜだ?」

「え、好きな人がいるのかなって……」


 先ほどの反応からして、そういう相手がマモンにもいるのだろうかと思った。

 違うのかな。



「……あぁ、居るぞ。

しかし、余の気持ちとは裏腹に随分と浮気性なようだが……な?」

「え?そいつサイテーだね?!!絶対やめときなよ!」

「……そう思うのであれば、なぜそれが出来るのだアリザ」



(ん……?なんでこっちをさげすむように見てくるんだろ……え、もしかして私のこと?!)



「私は浮気性じゃない!

そもそもこれは、いつものお礼で……」

「礼だと?ほんの少しも、本当に余には気持ちがないというのか?!!!

アリザの一番は、余ではない……?」




シュンと眉を下げ、まるで落ち込んだマモン。

何だか悪いことをしてしまった。



「私が言うのも変だけど、落ち込まないでマモン。

マモンには、この領域の悪魔たちがいるじゃない。

たかが、私一人が居なくても」


「違う!!!!違う違う違う!!!

アリザの一番だから、いいのだ!!」

「ッ……?!!ま、マモン?」



 マモンの様子が変で、恐れた私は一歩また一歩と退く。

 しかし、背中は壁に到達してしまう。

 逃げるにも扉までは、距離があった。



「どうして逃げるのだ?

……あぁ、逃げられる足があるからか」



 マモンが指を鳴らす。

 それが合図となって出現した鎖が、ビュッっと足を絡め取る。



「余が一番であると言えアリザ。

さすれば、この鎖外してやらんでもない。

……このチョコ全て、余のためであろう?」

「……それは」

「言えぬか?余の目の前で恥ずかしい?

余とアリザの仲ではないか!

まあそう言うところも、チャーミングではあるがな」



 まさかこんなことになるなんて。

 本当にただのお礼のつもりだったとは、とても言い難い。


あまりマモンに嘘はつきたくないが、仕方ない。



「う、うん!!!そう!!

実は、マモンのためなんだ」


 これで解放してもらえると、安堵していた。


 

 しかしマモンの視線は、より一層鋭さを増す。



「嘘だな」

「え」

「アリザはわかりやすいからな。

自分に不都合なことでさえ飲み込んでしまう」

「ちが」


「余を騙せると思ったか?!

アリザは、余のためだけに尽力すれば良いのだ!

他の誰かには、絶対にやらぬ!

あぁ、そうか。言えぬなら、その心に"直接"聞けばよいだけ」



 絡まる鎖は体を這い上がり、首へと伸びる。



「ま、まさか!!

マモン、やめ!!!?」

「たまたまだが、条件が揃ったな?

愛慕呻吟ラバーズ。アリザの身も心も全て余だけのものである!」



 胸が騒つく。

 マモンが、マモンを心から欲しい。

 欲しくて堪らない。

 手が届く所にいるのに、体に巻き付く鎖が邪魔をする。



「……ッ」

「余が欲しいであろう?

でも残念だな。あのチョコは、余のためだけに作られたものではない」

「マモンの、ため……」

「違うのだろう?

アリザにとって余は、替え玉が効くただの"道具"同然。

ハァ……余にとっては、アリザはたった一人の愛おしい人の子であるのに」

「嬉しい……マモンにそう思ってもらえてて」

「でも、失望した」

「……や、やだ!!!失望しないで、お願い。

マモンが、好きだから……」



 繋がれた鎖を引っ張られ、マモンの崇高な御尊顔が目前に。

 綺麗なオッドアイの瞳が、麗しく揺れる。

 ああ、このまま全て彼女のものになってしまいたい。



「好きというのは……本当だな?

その言葉に、二言はないな?」

「もちろん。心からマモンを愛しています。

この身をもって、貴女への愛を捧げます」


「アリザ……あぁ愛おしい余の伴侶。

キャー!!余ってば、気が早ーい!」


 

 嬉しそうなマモンへ跪き、彼女の手の甲にそっとキスを落とす。



「……つ、つまり?」

「い、言わせないでよ……。

バレンタインは、その、私を捧げます」

「ぶべら……ッブフゥゥウウウうう!!!?」


「……ッえ?!!!

ま、マモン?!!!!やだ!!!

鼻から出血が止まらない!!!

誰か!!誰かァァァアア!!?」



 マモンは、アリザからの愛情に耐えきれず、大量の鼻血を出して倒れてしまう。

 そのことで彼女からの能力は、解けた。

 

 鎖と、愛慕呻吟ラバーズから解放されたアリザは正気に戻る。



 そして、ベッドで眠るマモンを見つめていた。

彼女の手を握りしめながら。



「マモン大好きだよ。

目が覚めたら、ちゃんと言わせてね」



 そう微笑んで、そっと頬に口付けした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ