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拒否はユルサナイ

午後10時。

配達です、の声に私は喜び、玄関ドアを開けた。


そこに立っていたのは、かつて私を監禁した、元彼氏だった。


咄嗟(とっさ)に玄関ドアを閉めようとしたが、彼の判断のほうが早かった。

ドアの隙間(すきま)に手を入れ、私の手首をつかみ引っ張った。


「何をそんなに怖がっているの?私の信者…。

 帰ってきたんだ。」


私は手を振り払おうとするが、まったく動かない。


『なんで…!?』


彼は私を、玄関から外へ引っ張り出し、抱きしめた。


「私はずっと、あなたが欲しかった…。

 もう何年も耐えた気分だ、誰も私たちの愛を引き裂くことはできない。」


私は逃れようともがくが、びくともしない。


『病院は…!!』


彼の冷たい笑いが、夜の空気に響き渡る。


「あの屑共(くずども)のために、誰が時間をかけるものか。」


彼の指が優しく、私の頬をなぞる。

私はぞっとした。

以前にも増して、狂気を帯びた執着を持っていることに。


突然、彼は私の顔を掴む。


「あの屑共(くずども)が何を言おうと、関係ない。

 あなたは私に帰ってくるために生まれたんだ。」


彼は私の(あご)をぎりぎりとつかみ、痛みが(ともな)い始める。


『ぃ、いたい…!』

「黙って。もっと痛い目にあいたくないならね。」


痛さで顔をゆがめたまま、私は押し(だま)る。

彼の顔には、満足気な笑みが浮かぶ。


「そうだ、私の良い子。

 さあ、私と一緒に家に帰ろう。」




警察が私の家に来た頃には、鍵が開いたまま、もぬけの(から)だった。

引き裂かれた布があったことから、縛られ連れ去られたと判断されたが、

私の足取りはつかめなかった。

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