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第一話

僕の名前は東雲一身。

歳は18だ。


突然だけれど僕は今、訳あってだだっ広い森の中に居る。

見渡す限りを優に100~200mは越えるであろう幹の太い木々が埋めつくし、その根は空より澄んだ透明な水に沈んでいる。

その水面には木々から落ちた枯葉が浮いており、更によく目を凝らせばその中を色鮮やかな魚達が泳いでいるのもわかる。

水深は…分からないけれど20~30mはあるだろうか。

僕はこの現実とかけ離れた光景に目を奪われていた。

正直なんでこのような場所に1人でいるのかは全くもって分からない。

ここに来た経緯が全く分からないのだ。

僕の脳はここに来る寸前、大学への通学路のわき道に見つけた寂れた小さな鳥居を興味本位で潜り、鬱蒼とした森の中に入っていった所までは覚えているのだが、その時に見た木々は確かに普通の木々と同じで極端に大きいことも幹が太すぎるようなこともなかった。


だから謎なのだ。

ここが何処で、何故ここに1人でいるのか?

他にも数え切れないほどに疑問が浮かぶが、実際の所その疑問を解決できる術を僕は持っていない。

もしや僕自信のサイズが小さくなったのか?とも思うがそれを証明できる証拠もない。

だから僕は思考はさておいて、ここがどういう所であるのかを調べるため、歩く事にした。



歩き始めてから10分ほど経過した頃だろうか。

依然として景色に変わりはなく、この世のものとは思えない程に大きな木々に囲まれ、えも言えぬ不安が僕を襲う。

その不安のせいで、状況把握のために敢えて放置した疑問が滝のように降り注ぐ。


ここは何処だ?

どうしてこのような奇っ怪な場所にいる。

ここから僕は出られないのか?

他に人は居ないのか?

ここで僕は死ぬのか?

死にたくない

怖い


疑問はやがて恐怖に変わり、僕の心を蝕み始めた。

僕がここに来る前、平和な日常を過ごしていた僕にとって孤独とはそのコミュニティにおいてのみのものであり、別の場所には居場所があるんだとかなんだと言ってよく現実逃避をしていたものだが、

何も分からず現在地が何処なのかさえ分からない現状では孤独に耐えることができず、猛烈な寂しさを覚えた。


誰か、誰か居ないのか?


僕がそう脳内で叫んだ直後だ。

それまでいくら歩き続けても神秘的な景色が広がるだけだった世界に一つの変化が現れた。

僕が視界に捉えた先には何かしらの建物群が見えた。


人が居るかもしれない。


そう考えた僕は足元が不安定なのにも関わらず、ペースをあげてその建物へと足を進めた。


そして更に数分後。

その建物の傍に着いた。

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