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5 我らはクリスタルウォーカー

もろに食らったモングラドゥは地面をのたうち回っている

「よぉ、トカゲちゃん、そんなに俺のこと食いたいなら先にこの弾食らってくれよ」

いつの間にか近づいたケルトは至近距離からモングラドゥの眉間に1発ぶっぱなした、モングラドゥの後頭部から血飛沫が破裂し弾が明後日の方へ飛んでいく、モングラドゥは唸り声を口の中にこもらせゆっくりとうつ伏せに地面に伏した、唸り声は続いたが、ゆっくりと声が小さくなり、やがて消えた

「手間かけさせやがって、大損害だよちくしょう、高質力STN弾に榴弾、スタングレネード、あとグロリオサのハキビスの損傷に、」

シューという音とともに顔を覆っていた装甲が外れ

無精髭の男が顔を現した、少し汗もかいていることから緊張はしていたのだろう、肌は茶色くいかにもワルイドな中年のおっさんって感じだ、髪は黒く頭の側面は短く何かの緑のタトゥーが左頬に掘ってある、耳には何か小型の機械がついている


ケルトは腰につけた大きなナイフを外しモングラドゥの目玉を外しにかかった

「死んでからだとこのエネルギー結晶体の中にあるエネルギーが帰化し始めるし、表面に膜ができ始まって処置が遅いと持って帰っても純エネルギー溶液に分留製錬できなくなってゴミ扱いだ、こんだけ死にかけながら狩ってもなんの意味もなくなっちまう、」

ケルトは赤い目の回りに必死にナイフを突き立て皮膚を剥がし肉を裂いていく

「加勢に来ないあたりグロリオサは重傷だな、だがハキビスを着装している限り死ぬことはねぇ、そんな柔なスーツじゃねぇからな、むしろ俺の遠距離狙撃特化スーツハキビスだったらワンチャンヤバかったかもな、とにかく早く捌かねぇと、」

血と脂、筋に苦戦しながらなんとか回りをナイフで進んでいく

「こういう作業はグロリオサの担当なんだよ、ハキビスの高周波ブレードだったら全部バターみたいに切れっちまう、なんで俺が!ったく!ちくしょう!」

ケルトは捌くのには慣れていないのだろう、刃が寄れて別な方向へと進んでいったり骨に当たってなかなか進まない、あくたいをつきながら捌いていく


もう少しで刃が一周し目が外れる時、赤い目の瞳孔が一瞬縮小した、ケルトは気づかず夢中になっている、

「やっとだよこんちくしょう!このくそったれのクソトカゲ野郎!今日は散々だわ!」

片方の目がこぼれ眼縁からぶら下がる

ケルトはナイフをモングラドゥの首に刺して離し両手で大きな目を掴む

その瞬間死んでいたはずのモングラドゥが動きだしケルトに覆い被さってきた、一瞬の出来事に避けることができずケルトは情けない声を出しながら押し潰されるしかない、

「あぁクソ!神様、死にたくない、なんでだクソ!助けてくれ!」

ケルトは叫ぶ

そのままモングラドゥは最後の力なのだろう、片目をぶら下げ顔半分血だらけのまま大きな口でケルトを噛み砕こうとアギトを持ち上げ開いた、

その瞬間

ブゥィゥンという音とともにモングラドゥの頭が胴体から外れ口が開いたまま、ちょうどケルトの頭を咥えこむ形でドスンと落ち、今度こそようやくモングラドゥは永遠の眠りについた

ケルトはもがきながら這い出してなんとか立ち上がる、すると誰かが高笑いをして立っている、モングラドゥが動き回ったせいで砂ぼこりが立ち込めていたが見えるようになってきた

そこには片腕のブレードが割れて足の装甲も割れて何かの液が染みだしているがハキビスの姿があった

「きいたぞケルト、おまえの命乞いの声、しっかりとこの私の耳に入った、決して忘れないからな」

シューという音とともにハキビスの顔の装甲がスライドしながら開く、そこには赤い長髪の女性がいた、眉毛は太く挑戦的な目つき、ソバカスと茶肌、かなり汗をかいていることから損傷した足で急いできたのだろう、だがそんな疲労など吹き飛ぶほどの悦びが彼女を今包んでいるのだ、ケルトは何も言わず目を閉じて膝をつきうなだれていた、






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