1-85章 魔法交流会その29
いよいよ魔法交流会も大詰め。俺とルークの対戦が間近まで迫っていた。なんだかんだでここまで来たが、この大会の目玉は何と言ってもルークの圧倒的な魔法だ。1戦目ではマリンを、2戦目ではライアーをいともたやすく退けた魔法力は侮れないものがある。二人よりも魔法力で劣る俺がルークに勝てるのだろうか。
「なーに弱気な顔してんのよ」
「いて」
俺の背中を平手打ちで叩いたマリンはムスッとした態度で俺を見る。
「ふふ。サトル君も緊張するんだね。なんだか以外」
「なんなら俺は緊張する方の部類だと思うけどな」
自分はいわゆる本番に弱い部類の人間で、こういったところでは緊張で何もしゃべれないということが逆に集中している見られるのかもしれない。
「サトル君ならやれるよ。私たちがいるもん」
ペティーは自分の顔を俺の目線に合わせるためあげると、ニッコリを笑った。そうだ。俺だって今日のためにペティーやマリンと一緒に魔法の練習をしてきたんだ。最初から負ける想定をしていては勝てるものも勝てなくなる。
「ああ、じゃあ行ってくる」
頼もしい同友二人に見送られ、俺はルークとの対戦のために会場に足を運んだ。
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会場にはすでに多くの人が集まっており、決勝の開始を今か今かと待ちわびていた。そして、対戦相手のルークはというと、
「もう来てるのか...」
今まで何度も遅刻気味だったルークはすでに会場に来ており、俺よりも先にそこで待っていたようだ。
「おう、遅かったな」
「ああ...」
短く言葉を交わし、俺も試合開始の準備をする。紆余曲折あった魔法交流会もいよいよ大詰め。この試合で魔法交流会の優勝者が決まる。
「それでは魔法交流会マリック決勝戦を行います」
ルークの声が会場中に響くと、騒がしい喧騒が一斉に静まりかえる。
「二人とも準備はいいか?」
俺とルークはうなずき、無言の了承をする。
「それでは開始します。決勝戦はじめ!」
試合が開始すると、俺とルークは真正面に向かい合う。俺とルークは5メートルほどの間を保って一歩も動かない。
「お前のことは面白いと思ってるんだよ。ちょっと遊んでくれよ」
ルークは不敵にそう笑うと、自分の周りに複数の攻撃魔法を展開して、俺に放ってくる。一発一発が必殺の威力を誇る魔法を俺は何とか防ぎ、躱しながら持ちこたえる。俺の攻撃魔法をいなす立ち居振る舞いに会場の熱気が一際増す。
「へえ、やっぱお前ななかやるな。さっきの腰抜けと大違いだな」
「あんな勘違いやろうと一緒にすんじゃねーよ」
変な悪態をつくルークを一蹴して俺はルークとさらに距離を取る。ルークは不満げに口元をゆがませる。
「でも、魔法師で距離を取るっていうのはいただけないな。適当な距離だと魔法師にとっては格好の的だぜ!」
そういうとルークは今度は攻撃魔法の波状攻撃ではなく、一点特化の棒状の攻撃魔法を繰り出す。俺はそれを見て防御魔法を展開する。しかし、
「くそ...防げない...」
先端の圧力があるこの攻撃魔法は並みの防御魔法では防ぐことができない。俺は飛ばされた攻撃魔法に何層もの防御魔法を重ね合わせることでこれを対処した。しかし、自分の止められた攻撃魔法に全く驚く様子もなく、ルークはパンパンとゆっくりと拍手をする。
「はは、やっぱりお前面白いな。魔法への理解がかなり高い」
「...そりゃどうも」
敵に賞賛を送るほどの余裕があるルークと必死に防御魔法で何とかしのいでいる俺では明らかに俺が押されているように見えるのは誰の目からでも明らかだろう。だが、
「まだまだ、これからお前を楽しませてやるよ。ルーク」
この世界では魔法の使い方は無限にあると俺は知っていた。




