1-78章 魔法交流会その22
突然の部外者の来訪に、俺の周りにいた人々も彼の存在に気付き始める。ライアーは俺を見つけるや否や、俺のほうにドスドスと音を立てて迫ってくる。
「おい、お前あの時の奴だろ!僕もこの大会に参加させろ!」
「それは俺の一存では決められない。ガジャかリックさんに...」
「はあ!?ふざけたこと言ってんじゃんねーよ!僕たちに黙ってこんな大会を開いて、ただで済むと思っているのか!?」
理解不能な対話をしているとこちらも頭が痛くなってくる。こいつにはもともと自分の強さをひけらかしたいという欲しかないため、こちらが何を射ても無駄なのである。面倒な奴に絡まれた、と
途方に暮れていると、
「なんだ?この騒ぎはいったい」
「リックさん!!」
突然の観衆の騒ぎを駆け付け、リックさんがゆったりとした面持ちで人混みをかき分けて歩いてくる。
「おや?あなたはパチュリ家の息子様にあられるお方ではありませんか?本日はどのようなご用件で?」
リックの物言いは、ゆったりとした落ち着きのある雰囲気だが、言い返すことのできない無言の圧力のような迫力も持っていた。それにライアーも気圧されたのか、
「こ、これは本来僕たちが主催で開くはずだった大会だろ?そこに僕がいないなんておかしいだろ!!」
「今回の大会はガジャさんと私の主催で行っている会であって、あなた方には関係のない話だとは思いますが?」
当然の反論をライアーにぶつけ、彼も顔をゆがませる。しかし、偶然近くにマリックの対戦表が目に留まったのか、ライアーはその対戦表のシード枠のところを指さした。
「ほ、ほらこいつの対戦相手まだ決まってないんだろ。ここに入れば何も問題ないはずだ!」
「その対戦組はすでに決められたものであって、あなたの独断で決められるものではない。お引き取りをお願いします」
最後まで譲歩の姿勢を見せずに、リックは早々にライアーのことを追い出そうとする。
「今の話、別に受けてやってもいいぜ」
すると、また別のところから会話に加わる声が聞こえてくる。
「トンプ君...」
「よお、俺がお前の対戦相手になるトンプだ。こいつをぶちのめせば帰ってくれる。そういうことだよな?」
なんと、今回シードを獲得していたトンプがライアーの参加を肯定する発言をした。
「お!?ほらほらこいつもいいって言ってるし、いい加減認めてくれよリックさん」
「しかしトンプ君。君はいいのかい?」
ライアーの煽りには耳を貸さず、リックはトンプのほうを見る。トンプは腕を組みながら自信満々に、
「こいつ、あっちの村の領主の息子だろ。倒さないといつまでたってもここで駄々をこねて面倒だし、俺がここで相手をして倒してやれば、大人しくなるだろ。お前もそれでいいだろ」
「もちろんだよ。ただし、ボコボコにされるのはお前の方だけどな」
ゆがんだ嘲笑を向けるライアーに対して、リックは腕を組み、しばらく熟考する。そして、
「わかった。急遽君たちの対戦をこちらは認める。君たちも異論はないね」
「ああ」
「当り前だろ」
トンプとライアーがそれぞれリックに応じると、リックとライアーはそのままその場を離れて、騒ぎを聞きつけた野次馬もどんどんと散っていった。
「トンプ!」
俺たちは騒ぎの中心にいたトンプに駆け付ける。ペティーもトンプを心配そうに見つめる。
「トンプ君、大丈夫なの?」
「ああ、お前たちには迷惑はかけない。あんなやつ、俺ごときでも問題ないだろう。お前らはあんなやつより自分の心配でもしておけ」
そういうと、手を振って何でもないようにふるまった。
「ちょっと待って」
俺は足早に立ち去ろうとするトンプに待ったをかける。そして、彼と短いやりをすると、
「わかった。頭には入れておく」
と言って、今度こそその場を立ち去った。急遽現れた台風の目はどのようなことをしてくれるのか。俺には全く想像できなかった




