1-73章 魔法交流会その17
今から行われる競技は、簡単に言えば"宝探し"である。魔法の授業の一環で使われると言われている「魔力人形」を見つけ出すという至極簡単なルールである。魔力人形には距離によって魔力の強弱があり、魔法を使わずに見つけることは難しいと言われている。また、俺やマリン、ルークといった魔法経験者に関しては、相手が魔法初心者だった場合には、相手への妨害が禁止されている。なお、相手が魔法経験者であればその限りではないそうだ。ここまでが今回の競技のレギュレーションである。ちなみにこれは、トーナメント制であり、俺とシレッタという子とシードのトンプが同じ山、そして反対の山には、
「マリンとルークが一回戦か...」
なんと今回の優勝候補の2人が初戦にぶつかることとなった。隣で一緒にトーナメント表を眺めていたマリンは「フフ」と軽く笑うと、
「上等じゃない。相手にとって不足なしね」
マリンは全く怖気づいた様子もなく、むしろ闘志をむき出しにして腕をぶんぶんと回していた。後ろからのぞき込むペティーも俺たちに「頑張ってね」とエールを送ってくれたので、俺たちもそれに応えた。競技会場は今回ガジャやリックが特別に用意した特殊フィールドで戦うことになる。ガジャが準備に時間を要した理由はここにあった。この特殊フィールドは、300m四方の正方形のフィールドであり、周囲が草に生い茂ったフィールドで、所々に木や背が高い建物が乱立する、少し不可思議なフィールドだった。しかし、ガジャいわく、このようなフィールドはバルセルクにもあるらしく、こういうフィールドを自分で作るのは楽しかったらしい。
「それでは一回戦のサトル君とシレッタ君は準備をしてください」
リックからのアドバイスに従い、俺はフィールドの入り口の前に立つ。隣には、俺の一回戦の対戦相手であるシレッタがいる。
「さっきの君のチームなかなかすごかったね。マリンさんがずっと君のことについて話していたよ」
「本当?あとでお礼でも言っておくよ」
見た目よりも大人っぽい彼の言葉を素直に受けとり、俺はあたりを確かめた。
「でも、初心者にだって君に勝つチャンスはあるみたいだし、君には負けないよ」
「ああ、楽しみにしてる」
シレッタの宣戦布告を聞き届けるとリックが右手を高く上げる。
「それでは1回戦第1試合。サトル対シレッタ。よーいスタート!」
勢いよく戦いの火ぶたが切って落とされ、隣にあるシレッタは一目散に駆け出した。初心者のうちは魔力探知なんてできるわけないので、魔力人形が近くにあるというある種の"違和感"をもとに探すしかない。意識してこのような選択をしたかわからないが、我ながら感心している。
「と、余裕こいてる場合じゃないな」
そして、俺はフィールドの中心付近に歩きながら魔力探知を行うために、薄く目を閉じた。魔力人形は魔力の強弱が周期的に動作しているらしく、この波を捕まえることができないとなかなか見つけることができないらしい。30秒ほど魔力探知を行うと、
「...!!あそこらへんか」
なんとなく魔力の感覚を感じた方に歩いていき、生い茂った草むらをガサガサと探る。しかし、魔力人形は姿を見せず、散々探して見つかったのは、川辺によくありそうな石切りしやすそうな石だけだった。
「思ったより難しいな...」
魔力探知はバルセルクの入学試験でも必要になる技術であるため、何としてもここである程度練習しておかなければと自分を奮い立たせる。適当にあたりを探してから俺はよっこらせ、と腰を上げたその時、
「...」
確かに、頭の中で周期的に動作する魔法の波を感じ取ることができた。この近くに確かにある。そのことだけは確かに感じることができた。




