1-71章 魔法交流会その15
「この後行われる模擬戦にはお前も出ろ」
「面倒くさ。どうせレベル低いのに」
「おい!!」
いきなりの怒声に俺は心臓が飛び出しそうだった。ここまで大声を出されると、なぜか自分が怒られているような感覚に襲われる。しかし、怒られた当の本人はチッ、と舌打ちをすると、
「わかったよ。じゃあ俺受け付け行くから」
そういってルークは俺たちのもとから離れる。その時、彼は何かに気が付いたかのように俺たちのほうに振り返った。彼が見つめる先にはどういうわけかガジャがいた。ルークはガジャに視線を合わせると、ガジャに軽く一礼してから、今度こそ受付のほうに行ってしまった。
「本当に申し訳ありません。私のしつけがなってないばかりに...」
「いや...」
ガジャは遠ざかるルークの背中をしばらく眺めていた。
「お父さん、今の...」
「ああ、そうじゃな」
ペティーとガジャはお互いが何が分かったかを理解しているようだった。
「何なに、今のどういうこと?」
たまらずマリンも今の二人のやりとりが気になったのか、ペティーとガジャにそのことを尋ねる。
「今の一瞬でワシがただの一般人でなく、熟練の老魔法使いであることを見破ったんじゃな。あの年の子でそれができるなんて、相当な訓練と特訓を積まなければできることではない。お前さんの息子さんはとても優秀ですな」
「はあ...」
怒られるかと肝を冷やしていたであろうリバースは、ガジャからの賞賛の言葉を聞き、恐怖と安堵の狭間で板挟みにされてるような声を漏らした。
「私は昔から魔法学校の教師として働いていたこともあって、ルークには幼いころから魔法についてを教えていました。幸い、ルークは魔法を嫌いにならずにこの年まで育てることはできたのですが...」
そこまで話すと、彼は明後日の方向を見ながら肩を落とした。
「もともとあまり社交的でなかったルークは、魔法のことにばかり興味を持ってしまって、周りの子とは遊びもせずにひたすら魔法に没頭していました。そのせいで、他人に興味を示さないあんな性格に...」
首を力なく振るリバースの表情は、俺が今まで見たこともないほど弱弱しく見えた。
「私が教師という仕事の忙しさにかまけて、父親として息子と向き合った来なかったつけが回ってきたということでしょう...息子のことは私に責任があることはわかっているのですが...」
そういって、彼は俺たちに向きなおり姿勢を正すと頭を下げた。
「息子とどうか友達になってほしい。息子と同じくらい魔法が使える君たちにしか頼めないことなんだ」
そう懇願するリバースに俺たち3人は力強くうなずいた。それを見て彼は、久しぶりにリラックスした表情になると、
「ありがとう。息子のことは頼みました。それでは」
というと、その場を立ち去ってしまった。リバースさんの息子であるルーク。ペティーとガジャも認める魔法の使い手。彼にそれほどの実力があるのか俺も興味がわいてきた。
「そんなことより、受付あたしたちまだじゃない?」
「やば、そうだった。急ごう」
そういって、俺たちはこの後の模擬戦に参加すべく、受付までの道を急いだ。




