1-70章 魔法交流会その14
「それで、息子さんはご到着されましたか?」
「今確認しているのですが...」
リバースはあたりを見渡しながら、魔力探知を行っている。魔力探知は魔力の持つものの位置を特定することができるが、特定の誰かを見つけ出すときは実力以上の技量が必要となるらしい。俺自身も魔力探知はあまり得意ではなかった。
「...。近くにはいるようですが、姿は見えませんね」
リバース曰く、この付近にはもう到着しているらしいが、見つけられないらしい。次の模擬魔法戦の参加者募集の時間もあるので、時間にはある程度の余裕がある。
「すいません。もう少し待っていただけないでしょうか?」
そう頼み込んでくるリックを断る理由もないため、俺たちはここでリバースの息子さんを待つことになった。
「それにしても、さっきの結果3人同点なんて驚きましたよ。それにペティーちゃんの浮遊魔法。あの出力はこの世代でもできる人は少ないよ」
リバースが話題にしたのは、さっきの得点のこととペティーが見せた大勢の人間を浮かした浮遊魔法のこと打だった。
「バルセルクの人間だから、あまり軽々しいことは言えないけど、実技なら間違いなくバルセルクに行けると思うよ」
「そ、そうですか?ありがとうございます!」
ペティーは少し恥ずかしそうにしていたが、案外嬉しそうだった。ペティーの魔法技能は確かにすごかった。悔しいが、魔力では俺は彼女にかないそうではなかった。
「あたしも、次の模擬魔法戦では活躍して見せるんで、ちゃんと見といてくださいね!」
「うん、しっかり見ておくよ。でも、僕は息子が今年受験するのもあって、試験官からはおそらく外されると思うけどね」
その話から、今度はバルセルクの試験な話へと話題が移っている中で、俺は一人別のことを考えていた。魔法交流会などがありすっかり忘れてはいたが、俺たちは2か月後にはバルセルク魔法学校への入学試験が控えている。しかし、俺の魔法力というものは一つの壁にぶつかっているような気がした。毎日魔法の研鑽と知識のインプットは行っているが、最初程の成長をできている気がしなかった。
日中にペティーとマリンと一緒に魔法の練習をしている中、二人は魔法力や使い方で、彼女らなりの成長を見せている中で、俺はその答えを出せずにいた。二人の魔法における才能やセンスは間違いなく俺より上であった。いくら練習を重ねても二人には追い付ける気がしなかった。しかし、俺が二人に追いつくには、人より努力することでしか、活路を見いだせないと思っていた。
「ル君...サトル君...」
俺は誰かから話しかけられている気がしてハッと顔をあげる。そこには心配そうに俺を見つめるペティーの姿があった。
「大丈夫サトル君。なんか顔色悪そうだったけど...」
「大丈夫、ごめんね、心配かけた?」
「いや、何もないならいいんだけど...」
俺はペティーに軽くうなずき返すと、リバースに近づく。
「リバースさん。息子さん、もうすぐきそうですか」
「ん、確かにそうだな...と噂をすれば...」
リバースが魔力探知をしようとした矢先、背後からけだるそうな声が聞こえてくる。
「親父、来てやったぞ」
「来てやったぞ、じゃないだろ。皆に挨拶をしなさい。」
雑踏の中、リバースの背後から現れた男は、俺らと同じような年齢にもかかわらず170cmはあろうかという長身に加え、印象の悪さを際立たせるような三白眼に猫背と第一印象がかなり暗めの人物だった。
「どうも、親父の息子のルークです。よろしく」
短くそれだけ挨拶した彼のことを、ただならぬ人間だとはこの時の俺は知る由もなかった。




