1-67章 魔法交流会その11
「すげー!!俺達今浮いてる!浮いてるぞ」
「わあ、すごい!ちょっと不思議...」
全神経を集中させて、私は全員に魔法を集中させて宙に浮きあがらせる。サトル君からこの作戦を聞かされた時、私はかなり不安な気持ちにかられた。自分や物に魔法を使うことはやってきたけれど、人に魔法を使うことは初めてだった。それに...
「ううん。今は私のできるすべてをここにぶつける」
私は頭の片隅で渦巻いている黒い靄を切り払う。もう覚えてはいないけれど、私が魔法を楽しいと思ったきっかけは、きっと些細なことだったと思う。でも、魔法は楽しいものだって、そう思ってくれるきっかけが私自身にあるなら。そう思うと、私はさらに雑念を振り払い、魔法制御に集中する。
「みんな!今なら籠近くに浮かせてあるから入れるのは簡単だよ!」
そう声をかけると、みんなは両手いっぱいに抱え込んだボールを一斉に魔法を使って入れ始める。籠までの距離が目と鼻の先にあることや、手元に多くのボールを持ってることから、サトル君やマリンちゃんのチームより多くのボールを入れられるはずだ。しかし、
「おっと、あぶねー...」
私の魔法制御もそんなに万能ではない。一人ではこの案を遂行することはできなかった。でも、
「トンプ君!お願い!」
「任せろ!」
私を除いて唯一玉入れに参加していないトンプ君が魔力が乱れたところにフォローに入る。彼はゆっくり乱れたところを補助するように、見かけによらず丁寧に魔力を使う。やがて、乱れた魔力は復調し、再び安定して浮かせることができる。
「ナイス!サンキューな!」
「おう!どんどん頼むぞ!」
二人は短く言葉を交わす。私は二人のチームがどれくらい入れてるのか、残り時間は何秒あるのかそんなことを気にすることができないほど集中していた。それから何秒立ったのか、意識の外から耳をつらぬく大声が頭の中を駆け巡った。
「最終戦終了!手に持っている球をすべて地面においてください」
そのような声を聞くと、私は気が抜けるのを必死にこらえて、みんなを安全な高度まで落としてからゆくりと着地させた。
「はあはあ...」
正直、これほど大変なものとは思わず私は地面に両手をついた。体が疲弊しきり、全身が筋肉痛であるかのように体をうまく動かすことができなかった。できることはやった。あとは結果を待つだけだった。すると、遠くから多くの足音が私に近づいてくるのがわかる。一人の女の子が私に話しかける。
「ペティーちゃん、私最後の玉入れ、すっごく楽しかった!」
女の子を皮切りにして、俺も楽しかっただったり、もう一回体験させてくれよ、だったりそれはもうてんやわんやのお祭り騒ぎだった。みんなは私を囲みながら最後の空中玉入れの感想を言い合っていた。始まる前の険悪な雰囲気はどこ吹く風か、今のみんなの顔には笑顔があふれていた。
「ど、どうしたの?」
女の子の一人が私を心配そうに眺めている。私はなんでそんな心配そうな目を向けられているかわからなかった。
「あ、あれ?」
しかし、私の目を伝う涙で心配されている理由が分かった。でも、これはさっきとはまるで違う感情からもたらされる涙であることは明白だった。私はふらふらしながらも立ち上がり、みんなにゆっくりと視線を向ける。
「みんなのおかげで、私は魔法の楽しさを少しでもみんなに伝えることができたと思います。会の途中に大変なこともあったけど、みんなのおかげで私もとても楽しかったです!ありがとうございます」
そうみんなに伝えると、みんなから惜しみない拍手が送られ、私も精一杯の笑顔をみんなに向けた。




