1-65章 魔法交流会その9
「ペティー、大丈夫だった?」
「サトル君!!」
人がいなくなるのを見計らって、俺はペティーに話しかける。さっきよりも雰囲気が落ち着いていたので、とりあえずは心配はいらないだろう。
「あいつ、割といいやつだったな」
「そうだね、まさかかばってくれるなんて...」
今も周りから賞賛の的にされているトンプを俺たちは見る。
「ずっと...怖かったの」
「ん?」
ペティーは手をもじもじさせながら、独り言のように話し始めたので俺はあっけにとられてしまう。
「さっきの子が周りの友達としゃべってるのは私も知ってた。でも、怖くて話しかけられなかった。もし、魔法なんて楽しくない、って否定されたら、私、泣き虫だから、また泣いちゃうって思っちゃったの」
ペティーは伏し目がちに目を伏せる。俺とペティーの身長差で俺はペティーの表情を読むことができなかった。
「馬鹿だよね。どうせ傷つくなら、私から話しかけに行った方が傷が浅く済んだのかもしれないのに...」
しかし、俺はペティーの話とは別のことを考えていた。魔法なんて楽しくない、この言葉が頭の中で反芻していた。
「ペティー。魔法の楽しさは教えてあげて喜んでもらうことだけじゃないよ」
「え?」
俺は雰囲気気にあわず、少しだけ笑っていたのかもしれない。でも、ペティーにしかできない魔法の楽しませ方、それを思いついて、ペティーがそれに気づいていないことが少しだけおかしかったのかもしれない。
「ペティー、最後の3回目にみんなに魔法を楽しんでもらういい方法があるんだ」
「え?何かな?」
「ちょっと危ないかもしれないけど、トンプと一緒のグループだろ。あいつにも頼んで手伝ってもらえば、きっとうまくいくと思うよ」
そして、俺は彼女の耳元で作戦の内容を伝える。最後まで聞き終わると、ペティーは少し困ったような顔をした。しかし、それは自分の魔法技能への不安などではなく、
「そんなもので楽しんでもらえるかな?」
という作戦への不安だった。しかし、
「こんなことは、俺やマリンでも一人じゃできないよ。ペティー程魔力の操作がうまくないとできない。だから、これはペティーのオリジナルだよ」
「おりじなる...」
しばらく口をパクパクさせて、自分で納得したのか俺の方を見る。
「わかった。サトル君を信じるよ」
「うん、頑張ってね」
さっきまでの暗い表情は消え去り、明るい笑顔を燃せた彼女を俺は見送った。
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「大丈夫だったの?」
「ん?ああ、問題なかったよ」
こっちで、遠巻きに俺たちの様子を見てたマリンが地面に座ったまま話しかける。
「なんかペティーと話してたみたいだけど」
「ああ、最終戦の秘策をペティーに預けてきたんだよ」
「秘策?なによそれ?」
「それは、始まってからのお楽しみ」
「ふーん」
マリンは俺の話に興味がなくなったのか、そのまま自分のチームの方へ戻っていった。
「さて...」
俺は先ほどの秘策を教えたペティーチームのほうを見る。ペティーはチームのみんなに何か頑張って話し込んでいるのわかる。
「ペティー...」
俺は、彼女へのいらぬ心配を捨てて、自分たちのことに集中する。アクシデントもあったが、これが最後の試合、俺は誰にも負けるつもりはない。もろもろの問題も終わり、リックが目の前に現れ、高らかに告げた。
「大変長らくお待たせしました。それでは最終戦の試合を始めます」




