1-64章 魔法交流会その8
「2回目終了!30秒のインターバルを挟む!!」
2回目の終了の声が響き、全員の魔法の動きが止まる。先程よりも魔力消費を抑えて、たくさん球を入れられたことにみんなも満足そうだった。
「やったな!俺達あいつらとほとんど同じくらい入れられてるよな」
「そうだね、このままいけば優勝できるかもね」
インターバル中は係りの人が球を一度籠から出して、別のところに移している。さすがに3回分の球を籠に放置しておくのは倒れた時の危険なども考えれば妥当な判断ではあるだろう。
「よし、それじゃあ最後も...」
俺が皆に最後の発破をかけようと思ったその時、
「おい、どうしてくれんだよ!!」
俺たちの右側で協議をしていたペティーたちのグループから怒気をはらんだ怒号が聞こえてくる。ガジャたち大人たちが騒ぎを聞きつけて、ペティーたちのところに集まっていく。
「ごめん。みんなはここで待ってて」
俺はみんなに一声かけて、騒ぎの渦中へと駆け込んでいく。大人や子供たちの間を頑張って抜けて顔を出すと、そこにはさっきの怒号をあげたであろう男の子が、倒れているペティーのことをにらみつけていた。そして、その今にも襲い掛かりそうな男の子を抑えていたのは、
「トンプ...」
魔法交流会前夜にもあった、ウィットネス村の村長の息子でもあるトンプだった。
「なあ、落ち着けよ。ペティーだって悪気があるわけじゃないんだ」
「うるせーよ!!こいつが教えるのがへたくそなせいで、俺たちのチームがほかの二つよりボコボコじゃねーか。こいつが教えるの上手かったら俺たちももっとうまくやれただろ!?」
「...」
ペティーも尻もちをついたままうつむくだけで何も言わない。そこにガジャやリックなども駆けつける。
「どうした?なにがあったんじゃ?」
「どうもこうも、俺たちが全然楽しくないってことだよ」
「楽しくないっていうのは、全然魔法を使えないからかな?」
リバースはゆっくりと男の子に近づくと、なるべく逆鱗に触れないようにゆっくりとした口調になる。
「そうだよ。この魔法交流会は、俺たちみたいに普段魔法を使えない奴を楽しませるためのものだろ。なのに、俺たちは始まってからわけもわからず魔法について教えられて全然楽しくねーよ。なあ、みんな?」
男の子は周りのみんなにも同意を求めるようにあたりを見渡す。周りの子たちは、うなずいていたり、反応に困っている人はいたが、意見を否定するものはいなかった。
「この女がもっと教えるのが上手かったら今頃俺らも...」
その瞬間、トンプが男の子の肩をつかんでそのままその体を地面に押し倒していた。周りのいきなりの行動にあたりが騒然とする。
「いってーな、何すんだよ!?」
「自分の魔法力のなさを他人に擦り付けてんじゃねーよ!!」
周りの喧騒をかき消すのどの声量があたりを包み込み、あたりが一瞬静寂に包まれる。
「確かにお前は初心者で、この子も教えるのがうまくなかったかもしれない。でも、お前らはわからないなら、何でわからないって素直に言わなかったんだ!?」
「い、言わなかったって何が...」
「あのおじさんやこの子は、わからないっていう子には根気強く教えてあげてた。そういう子は少しだけど、魔法の使い方がうまくなっていってた。でも、お前らは魔法がつまんないって見限るや否や、ずっとサボって友達としゃべって、あの子のこと笑ってただろ?」
「な!?」
図星を疲れたのか男の子は何も言い返せなくなる。
「お前みたいに、人が頑張ってるのを侮辱するやつが、一番ムカつくんだよ!!」
トンプが男の子に殴りかかろう意図する拳は、彼の顔面に直撃する前にまるでそこに壁があるかのように止められる。
「とりあえずお互いの言い分はわかった。とりあえずお前さんはこっちに来なさい」
ガジャは男の子を係の人に連れて行くように指示する。ガジャはそれからトンプに近づくと、トンと肩を叩く。
「ペティーのことをかばってやってくれたことはうれしいが、暴力はアカンな」
「す、すいませんでした...」
それだけ言うとガジャはその場から立ち去って行った。
「ト、トンプ君...」
その間にペティーは立ち上がるとトンプに話しかけた。
「か、かばってくれてありがとう...」
「た、大したことしてねーよ」
照れ隠しをするように、鼻の下を思いっきりこすっていた。




