1-61章 魔法交流会その5
「それでは皆さん、所定の位置についてください」
今回の3組の混合玉入れ大会はの審判を行うリックがスタートの指揮を執る。俺とマリン、ペティーが前半に教えたメンバーで行うこの玉入れ大会のルールはいたってシンプル、どのチームがより多くの球をゴールに入れたかで勝敗が決定する。ただし、シンプルに投げ入れるのは禁止で、魔法を使った玉入れのみ数がカウントされていく。ちなみに、リーダーである俺たちは直接球を入れ込むのは禁止で、アドバイスや魔法での補助のみが許可されている。主審のリックと補佐でガジャも入っているので問題はないだろう。試合時間は1分×3回。インターバルを間にそれぞれ30秒ほど設けて、作戦会議をし、その総量が多いほうが勝ちだ。
「サトル」
俺の左側に陣どっているマリンが俺に声をかける。それぞれのチームは分かりやすいように頭に鉢巻を巻いているが、彼女の頭にはイメージカラーの赤のハチマキがしっかりと結ばれている。
「負けないわよ。今度はあたしが勝つ」
「俺こそ、負けないよ」
短い言葉だけを交わし、俺たちはそれぞれゴールへと視線を向ける。やることはやった。あとはみんなが俺の教えたことを実践で教えたことをやるだけだ。
「それじゃあ、位置について。よーいスタート!!」
リバースが大きく手を叩くとそれぞれのチームの子供たちが地面に落ちている球を拾い上げてそれぞれ魔法を使い始める。俺のチームの中でも魔法の扱いの上手い子が1つ2つと、順調に球を入れ始める。
「大丈夫だよ。落ち着いて。さっきやったことを思い出して」
俺は、緊張で魔法操作がおぼつかない子のフォローに行って、魔法の使い方をテキパキと教えていく。俺のチームは30秒ほどが過ぎ、10個ほどの球を入れることができ、滑り出しは上々といったところだった。
「行けー!もっと行けるわよー!」
応援団長張りの大声をあげているマリンはただ遠くで声援を飛ばしているだけだった。しかし、マリンチームの子たちは、次々と球を入れていき、その数は俺と同じくらいにまで達していた。そして、驚くべきは彼らが全く違うアプローチで、球をゴールに入れていることだった。俺が皆に教えたように、球をゴールの真上まで持ってきて確実に落としている者もいれば、球を浮かせてそのまま放っている者など様々だ。おそらくマリンは、子供たちに決まった教え方をしないで、球を入れるアプローチを共有して、自分に合った方法を模索させたのだろう。
「確かに...そのやり方は思いつかなかった...」
マリンの思わぬ教え上手さもあってか、俺とマリンのチームの差はわずかにだが開いているように感じた。そして、ペティーのチームはというと...
「が...がんばれー...」
予想出来てはいたが、もうすぐ1分が経過しようかというところでまだ10個ほどしか入っていなかった。まあ、ペティーのチームはお気の毒だがあと2戦は俺とマリンの勝負になるだろうと俺は確信した。
「1回目終了!30秒のインターバルを挟む!!」
最初の一分がおわりすぐさま30秒のインターバルが来る。
「おいおい、俺達隣のチームに少しだが負けてるぜ。なんか策はあるのか?」
男子の一人が俺に話しかけてくる。確かに、このままいけば俺たちに勝ち目はない。だけど、
「そうだね。そしたら、俺が最後のほうに教えた作戦。あれを少しやってみよう。みんな集まって」
俺はみんなを俺を中心に囲んでもらって、作戦の概要を伝える。
「少しだけ難しいけどやってみる価値はあると思うんだ」
「そうだね。やってみよう」
女子の一人がうなずき、俺も自分の作戦に勝機を見いだせると感じていた。
「それでは今から2回目の玉入れを始める。全員位置について」
リックの声が風に乗ってかすかに聞こえてきた。




