1-60章 魔法交流会その4
「みんな、この後の玉入れはうまくいきそう?」
「そりゃもう準備万端よ。あんたにも負けないぐらい上達した子がいるんだから覚悟しなさいよ」
約1時間半ほどの魔法指導が終わり、現在は休憩時間兼昼食時間中だった。グループ通しのメンバーで食事をしたり、シンプルに仲のいい人同士で食事をしたりと様々だった。
「私のところはもう散々だったよ...」
「ま、まあペティーのところは見なくてもわかるわね...」
半分泣きそうになりながら弁当を食べているペティーをマリンが励ます。遠目にペティーのグループを眺めてはいて、ガジャが折々フォローに入ってはいたが、それでもペティーは魔法を教えているのに苦戦しているようだった。
「みんなにはなんか申し訳ないよ...」
「まあ、わざと下手に教えてるわけじゃないんだし、一生懸命教えてたら相手にも伝わるよ!」
「そうだといいんだけど...」
俺もペティーを精一杯フォローしたつもりだったが、ペティーの顔は依然晴れないままだった。すると、もろもろの仕事を終えてきたのか、ガジャもこちらに手を振ってやってくる。
「二人ともお疲れ。二人のところはあまり見れてないんじゃが、大丈夫だったか?」
「ちょっと戸惑ったところもあったけど、概ね大丈夫だったよ」
「私も心配ないわ。この後の玉入れもなかなか楽しみね」
「そうか。それはよかったわ。それと...」
ガジャは周りをキョロキョロと見まわし始める。何か探し物でもあるのだろうか?
「リックさんがまだ戻ってこんのじゃ。そろそろ戻ってくるころだと思うんじゃが」
「あ、そういえばそうだわ。確かに遅いわね」
と今の今まで全然忘れていたが、玉入れの時までにリックは戻ってくるとは言っていたけれど、確かに彼の姿は見ていない。息子さんの説得に苦戦しているのだろうか。
「いや、そうこうしているうちに...」
ガジャは空のほうに手をかざしながら上空を指さす。つられて俺たちも空のほうに顔を向けると、空を高速に移動する点々のようなものが飛来していた。その点は俺たちのほうに急接近してきて、やがて俺たちの少し上で止まるとゆっくりと降りてくる。
「リックさん!!」
空を飛んでいたのは、今まさに話題にかがっていたリック・リバースその人だった。
「やあ3人とも。それと先生も。遅くなって申し訳ない」
「それは大丈夫なのじゃが、息子さんは大丈夫じゃったか?」
「はい、息子のほうは来なければ魔法訓練を一週間禁止にするようにと言ったので。量を増やすより禁止にした方があいつにはこたえるんですよ」
というと、彼は額に流れる汗をポケットに入れていたハンカチで拭った。彼はウィットネスの入り口付近慰問を眺めると、
「あいつは早ければ、玉入れがちょうど始まるくらいには到着すると思います」
といったので、あと10分ほどすれば到着するのだろう。彼がどんな人物なのか俺もとても興味がわいてくる。
「そんなことより、次は皆さんの玉入れ競争ですよね。練習風景こそ見れませんでしたが、皆さんの練習の成果、楽しみにしてますよ」
というと彼は一礼すると、その場を立ち去っていった。
「リックさんの息子さん。そんな人なんだろうね...」
「まあ、どんな奴でもあたしは負けないけどね」
ペティーは俺と似たようにリバースさんの息子に興味津々と言った感じで、マリンはいつにもまして、戦闘心むき出しで、目をぎらぎらとさせていた。
「リックさんの息子の話もいいが、お前たちはこの後のことにまずは集中しなさい」
「もちろんわかってるよ」
「当然よ!絶対1位をとってやるわ」
「私も...負けない...」
リックさんの話のことも気になるが、俺もこの1時間半の成果のためにもこの2人には負けるつもりは毛頭ない。俺は目の前にある弁当をかきこんで、ごちそうさま、と言ってその場を立った。




