1-55章 魔法交流会その1
「サトル、いつまで寝てんのよ。早くいくわよ」
パンパンと布団を叩かれながら俺は寝ぼけ眼をこすりながら目を開ける。
「今日は魔法交流会の日でしょ。さっさと支度しなさい」
マリンは俺のことを起こすとさっさと部屋を出ていく。そうだ。今日は魔法交流会の日だった。昨日あんな感じで寝てしまった手前、あまりいい目覚めではなかった。
リビングに行くと、マリンとペティーはすでに準備を済ませてあった。二人とも動きやすそうなジャージのようなものを上下にまとっていた。
「サトル、遅いわよ。あんただけよ。今の今まで寝てたのは」
「ふふ、サトル君も朝が苦手なんて弱点があったんだね」
俺はペティーと話すのに引け目を感じていたが、どうやらその心配はいらないようだった。
「サトル、早く準備なさい。マリンとペティーちゃんはもう準備できてるわよ」
アンもキッチンからベーコンエッグをテーブルにおいてエプロンをキッチンに置く。
「わかってる」
俺は自分の部屋に行くと、適当な動きやすい服をタンスから引っ張ってくるとそのままリビングに向かってみんなで朝食をとる。3人で手早く朝食を片付けると一緒に家を出た。
家の周りには見たこともないほどたくさんの人がいて、人口密度がえぐいほど高かった。もちろんルーラル村の子供たちやその親がウィットネスに来ているせいだろうが、それにしても子供の俺らじゃ数メートル先も見えないほど人がいっぱいだった。
「すごい人の数ね...」
「そうだね...早く広場にいこっか」
二人と軽くこの人ごみの感想を言い合って、俺たちは開会式が開かれる広場の方へと向かった。並み居る大人たちの壁をくぐり抜けて、俺たちは列の最前線へと進んでいく。前には俺たちと同じような子供がわんさかと並んでいた。
「ねえ。あそこにいるのって...」
ペティーにとんとんと肩を叩かれて、俺は噴水の奥にいるガジャと村長を見つける。どうやら魔法交流会の最終確認をしているようだった。広場の中央には、横に長い木の箱がポツンと置かれており、そこに立って開会式を行うのだろう。
「もうすぐだね」
「うん、頑張ろう」
俺は、式に集中するためにまっすぐと前を見据えた。すると、また横からとんとんと肩を叩かれる。
「どうしたの...」
俺は隣にいるペティーの方を振り向くと、ペティーは黙って手をグーにしてこちらを向いていた。心なしかペティーは少し頬を膨らませていた気がする。
俺は、ペティーに合わせて手をグーにしてペティーの拳と合わせた。彼女はにっこりと俺の微笑みかけるとそのまま前を向いてしまったので、俺もそのまま前を向く。目の前にはすでに話し合いを終えたのか、ガジャが木箱へと足をかけていた。ガジャは一つ、「コホン」と咳払いをすると、
「皆さん、注目!!」
腹から声を出したような低い声が広場中に響き、雑談していた全員がガジャのほうに注目する。
「これより、魔法交流会の開催を宣言する。魔法についてまだ右も左もわからない若人諸君はぜひ、今日の機会で魔法に興味を持ってくれると嬉しい。今日この日が皆の中の素晴らしい1日になることを願っている!」
そういうと、広場中が「おー!!」とあふれんばかりの歓声が響き渡り、民衆が興奮と熱気に包まれていることがわかる。そして、待ちに待った魔法交流会が幕を上げた。




