1-40章 ルーラル村
ガジャは毎日のように、隣町に行っては夕方まで打ち合わせをしてきては帰るというのを繰り返していた。毎日一緒に過ごしたり、魔法についてのアドバイスを受けていた身としては、時々しか顔を見せてくれないガジャのことが少し恋しくなってきた。
1週間ほどったある日、その日はガジャがまだ家にいて、隣町へ出かけていなかった。家の中に入ると、ペティーとガジャが何か話し合っていた。俺たちに背を向けて話していたペティーの表情は見えないが、聞いてて楽しい話ではないのだと分かった。
「おはよう。二人とも」
「サトル君、マリンちゃんおはよう...」
2人は俺たちが扉を開けたのに気付いたのか、振り返って挨拶をする。
「なんの話してたの?」
開口一番マリンが二人の話していた内容について聞く。特に隠す必要もないのか、ガジャは俺たちの前に出ると、
「なに、今日はお前たちにルーラル村にきてあっちの視察を一緒にしようと思っとるんじゃ」
「ルーラルに行くの?なんだかおもしろそうね!」
ルーラルに行くことに一番乗り気だったのは予想通りというかなんというかマリンだった。ガジャの話によると、魔法交流会の開催場所はルーラルで行われるそうなので、実際に見ておくのもいいかもしれない。
「ただ、ちょっと問題もあってだな...」
急にガジャの顔が厳しくなるのが、次にくる話があまりいい話ではないことを物語っている。
「あっちの領主パチュリ伯爵はちょっと貴族志向が強い方でな。その息子もそれに毒されておってるのじゃ...」
「要するに金持ちのボンボンってことね」
非常に分かりやすい表現に感謝感謝である。それよりボンボンって言葉がこの世界にもあるんだな、と俺は感心した。
「あっちの領主たちと話し合う機会もあるだろうが...お前たち大丈夫か?」
何か面倒を起こすと思っているのか、ガジャは俺とマリンを交互に見やる。
「まあ、マリンがキレなければ大丈夫だよ」
「まあ、サトルが言い合いしなければ問題ないわね」
「はあ、まあ大人しくしておけばワシも文句は言わん」
呆れたようにガジャは頭を抱えると、今度はペティーのほうを向く。ペティーはというと緊張しているのか、がちがちに震えてガジャを見上げている。
「ペティーも行くか?大丈夫じゃ。何かあればサトルとマリンもいるから」
ガジャが俺達のことを指さすと、俺たちもそれに倣って、「任せろ!」といった感じで胸をドンと叩く。もじもじしていたペティーだったがやがて決心したように顔を上げると、
「わかった。私も行く。」
ペティーもルーラルに行くことが決まり、俺たち三人はお互いにハイタッチをする。ガジャはそれを笑顔で見守ると、コホンと咳払いをすると、
「ここからルーラル村までは歩いて20分ほどの距離じゃ。準備ができたら出発するが二人は大丈夫か」
「大丈夫」
「私も大丈夫よ」
俺とマリンはそれぞれガジャに準備ができている旨を伝える。
「よし、それじゃあ行くぞ」
そして、俺たちはガジャにつれられてルーラル村へと出発した。




