1-38章 魔法交流会
しばらくペティーと雑談していると中からペティーとガジャがぞろぞろと出てきた。この場を設けてくれたマリンには感謝してもしきれない。あとでアンからもらったお小遣いで何かプレゼントしなくちゃ。
「遊びに行くなら山じゃろ。山は落ち着いた雰囲気でよいぞ」
「いーや海ね。海の開放感の中で思いっきりはしゃぐなんて今のうちしかできないから!!」
「うーん、これも歳の差の価値観の違いじゃな」
どうやらあっちでは海と山どちらに行きたいかというどの世界でも行われる定番議題を熱く語り合っていたらしい。
「マリンありがとう」
俺は家から出てきたマリンに素直にお礼を言うと、
「あんたのためじゃないわよ。私がなんか気持ち悪かったから助けてあげただけなんだから」
ふん、とそっぽを向くツンデレぶりに俺は思わず苦笑いした。
「さーて、それじゃ今度こそさっきの話の続きをするぞ」
ガジャはパンパンと2回手を叩くと自分に注目を集めさせる。
「今から1か月後に隣村のルーラル村でピーター・マクダニエル主催の魔法交流会が開かれる。お前たちにはそれに参加してもらおうと思う」
「なかなかおもしろそうな催しね!」
魔法交流会という言葉に最初に食いついたのはマリンだった。ガジャは横目でそれを見ながら、右手で指を二つ立てる。
「開催の理由は大きく二つ。一つは村同士で親交を深めようという目的。もう一つは子供のころからの魔法力向上と言ったことが目的じゃ」
端的にガジャが開催の理由を説明する。確かに俺たちはほとんどこの村でしか生活を行っていない。ペティーやマリンはともかく、俺はこの世界のことについて全くと言っていいほど知識がないからこの魔法交流会は外を知るいいきっかけになるのかもしれない。
「どんな人たちが参加するの?」
ガジャが控えめに手をあげて質問をする。ペティーがこういう場で発言をするのはかなり珍しかった。ガジャが片眉だけ上げると、
「ルーラル村の子供たちが参加する。年齢もほとんどお前たちと変わらんくらいじゃ」
子供たちは俺達と変わりないくらいの年齢と聞いて少しホッとする。あまり年上だと気を使ったりして大変なのは社会に出たら言うまでもない自明のことである。
「どんなことをやるの?」
今度はマリンが勢いよく手を上げる。大方魔法での戦いを彼女はご所望なのだろう。
「催しとして魔法を使った的あてや障害物競走、50m走、綱引きなんかが予定されている」
「えー魔法での模擬戦みたいなのはないの?」
やっぱりマリンは誰かと戦いたがっているらしい。ガジャは首をひねってしばらく考えた後、ゆるゆると首を振った。
「今のところそういうのは考えてないな。あっちと何度か話し合いに行くからその時に話をしてみよう」
ガジャがそういうと、マリンはよし、といってガッツポーズをした。何が彼女の戦闘本能をそこまで刺激するのか。
「この催しは魔法をまだ使えない初心者の子もかなりの数参加する。ワシももちろんその子らに教えてあげるが、お前たちも魔法をかじっている者としてちゃんと教えてあげるんじゃぞ」
はーいと俺とマリンは返事をした。しかし、ペティーは俺の横でなにやらもじもじしている。俺が何か声をかけようとしたとき、「あの...」とペティーが口を開く。
「わ、私も魔法交流会に参加してもいいんだよね?」
ガジャは自分顎をさすると、笑顔でペティーに言った。
「もちろんじゃ。ペティーの力は必ず魔法交流会で役に立つ。サトルとマリンもいるんじゃから安心してやりなさい」
「...うん!!」
元気に返事したペティー横顔は今までに見た彼女のどんな顔よりもかわいくて美しかった。俺は赤面した顔を必死で抑えるために後ろを向く。「何やってんのよあんた」とマリンにはジト目で見られてしまったが。




