表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
[連載]転生した俺は誰だ?  作者: Re:vi
第1章 終点ウィットネス編
23/190

1-22章 神の寵愛(ギフト)

「サトル君はギフトについてどう思っている?」


ペティーの口から発せされたその言葉は、どこかこれまでとは違うどんよりと重い空気をはらんだものだった。


「...」


即答せず、俺は黙ってペティーが言った"ギフト"という単語について考える。現世にいた時の"ギフト"の一般的な意味は、贈り物だとか、そんな意味で使われている単語である。つまり、普通に考えれば「贈り物についてどう思う?」と質問しているように聞こえるが、雰囲気的にそうではないと考えられる。要するに、ここでペティーに言うべき言葉は、


「そのギフトって言葉を俺はよく知らないんだ。よかったら教えてくれないかな?」


彼女の地雷を踏まないように"ギフト"について彼女から聞き出すことだ。もしかしたら、ひょんなことで現世に戻る方法が見つかるかもしれない。


「そう...」


彼女は一言、それだけつぶやくと、


「ギフトっていうのはね、お父さんが言うには神様からの贈り物なんだって」


ペティーは静かにギフトについて語りだした。この世界に季節という概念があるのかわからないが、今日は夜風が体にしみる。上着を思ってくればよかったと俺は後悔する。


「神様に選ばれた者がギフトという魔法とは違った特殊能力みたいなものを授かるらしいの。お父さんもギフトを持っていて、私のパパとママもお父さんによればギフトを授かっていたらしいの」


ギフトとは、どうやら異世界御用達の魔法とはまた違った異能力のことを指すらしい。どれくらいの人がこのギフトを持っているのだろうかわからないが、今の話だけ聞くとかなりの人間がギフトを持っていることになる。


「それはすごいじゃないか。じゃあペティーもギフトを...」


「私は...ギフトを授かっていないのよ」


その声は、暗闇の中でも伝わってくるほど悲痛で、引きつった声をしていた。


「で、でも、ギフトを持っているかなんてどうやってわかるんだ?」


「ギフトを授かった人は、体のどこかに黒い紋章が刻まれるのよ。お父さんの背中にも黒い紋章があるわ」


ペティーは疲れていたのか、近くにあった木に背中を預けて座り込んだ。


「それにギフトを持っている人は生まれながらにしてその使い方をわかっているともいわれているわ。まさに持って生まれた"才能"というわけね」


俺は、ペティーになんて言葉をか開けていいかわからず、足を止めてただ彼女の言葉を静かに待っていた。俺もペティーの隣に座って静かに話を聞く。


「お父さんは、私にいっぱい励ましの言葉をくれた。遺伝がどうとか、私には魔法の才能があるからそんな悩む必要がないだとか。そのたびに私はお父さんに申し訳なく思った。神様に選ばれなくてパパやママたちと違う人間でごめんなさいって」


ペティーはもはや俺に話しかけるというより、独り言のようにすすり泣きながら話していた。


「私は、家族の中で唯一神様に見限られた存在なんだって」


今日の夜は、満月に近いくらい月が出ていたが、木々にさえぎられて木漏れ日がぽつぽつとしかさしていない。俺はペティーの肩にポンと手を置く。


「いや、そんなことはないよ」


少し肩をビクっとさせながらペティーがこちらを向く。彼女の体は小刻みに震えていた。


「神様なんて曖昧なものを信じるより、ペティーの大事にしている人を裏切らないことのほうが俺は大事だと思う。」


俺は彼女の両手を持って立ち上がらせると、一緒に手をつないで歩きだす。ペティーが黙って話を聞いてくれているのを確認してから話を続ける。


「俺はギフトどころかこの世界について全然詳しくはないけど、俺は神様に与えられた才能より、人生で積み重ねた努力のほうが何倍も価値があると思うんだ。結局自分で選んだものが一番信頼できる力なんだよ」


森をもうすぐで出られるのか数十メートル先がトンネルの出入り口のように明るく光っている。


「だから、まあなんだ、俺が言いたいのは、」


彼女の顔が俺のほうを向く。俺は無意識に顔を逸らし、明後日のほうを向く。


「君は君らしく、だれにも縛られず生きたいように生きていいんだよってそう言いたかったんだ」


「...」


ペティーは隣で一言も口を挟まず俺の話を聞いていた。少し話過ぎてしまっただろうか。一日の終わりにこんな湿っぽい話、気障な奴だとかかっこつけだとか思われていないだろうか。俺はなんとなくペティーのほうを見たとき、彼女は一瞬だけ自分の目元をぬぐうと俺の隣からバッと駆け出した。森の出口の前で立ち止まって一度深呼吸して、こちらに向きなおる。


「今日はありがとうサトル君。私今日のこと一生忘れないから」


月夜に照らされた彼女の姿は、まるで絵画の一枚のような綺麗さと優雅さを醸し出していた。彼女の雪のように白い肌が満月の夜と非常にマッチしていた。俺は、ペティーに向かって控えめに片手をあげた。これが俺にできる最大の照れ隠しだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ