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[連載]転生した俺は誰だ?  作者: Re:vi
第2章 バルセルク魔法学校入学試験編
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2-52章 それぞれの夢

「やっぱりこれがいいだろ?なあ、兄弟?」


「え、別に何でもいいだろ」


「あたしはこれがいいわ!」


「早く決めましょう。寝不足は体に悪いわ」


各々がバンドを見ながら口々に意見を言い合っている。そう、俺たちは今日魔力人形(マジックパペット)で得たチップを元手に豪華な夕食をいただこうとダンクが提案した。チップで夕食は頼めるらしく、チプを消費することでバンドから夕食が生成される仕組みらしい。


「よし、俺はこれに決めた!」


ダンクがそういって頼んだのはクリスマスの時によく見るローストチキンだった。俺もダンクのロースチキンを見て無性に食べたくなってきたので、同じものを注文した。マリンとリリーネはそれぞれぶりの照り焼きとヘルシーサラダを注文して二人でシェアしていた。それぞれ夕食を堪能している時、ダンクがふと口を開いた。


「お前たちって将来の夢とかあるのか?」


「将来の夢?」


俺は思わず聞き返してしまった。


「俺と違ってお前らはまだ若い。夢の一つか二つあってもいいだろ」


しかし、現実世界に戻りたい、と俺が行ってもおそらくみんなには理解してもらえないだろ。なので、俺はこの世界で叶えたい夢を言ってみる。


「俺は、魔法についての研究者になりたい」


「へえー、魔法師じゃなくて研究者にか?」


「そうだ」


ダンクはうんうんと相槌を打って俺の話を聞いている。俺に続いて今度はマリンが自分の夢について語る。


「あたしは、バルセルク魔法学校で一番の成績で卒業して、特一級魔法師になることだわ!」


「お、大きく出たな。それは険しい道のりだな」


「そんなダンクさんの夢は何?」


リリーネはダンク自身の夢について気になったのかダンクに質問した。


「なんてことない。俺はおまえらみたいな優秀な魔法師を育てたいんだ」


「バルセルク魔法学校みたいな?」


「そこまで大きいのは難しいだろうけどな。魔法は何だってできる。夢がある。俺は魔法に救われた。だから、そういうお前たちみたいな魔法師を育てたいんだ」


ダンクはそういうと目の前で燃えている火をじっと見つめている。今でも十分優秀なダンクだが、人当たりもよく飴と鞭の使い分けもできるダンクは教師にとても向いているだろう。


「リリーネはどうだ?何かないのか?」


ダンクがリリーネに質問すると、リリーネは食べ終わったサラダの皿を静かに置いた。


「...私の夢は...自分の住んでいる国を変えたいと思ってるの」


「...」


「私の国では目の色や肌の色で、他の国では見ないほどの劣悪な人種差別が広がっている。私は子供ながらに彼らに抗ってみた。差別している人の手を取ろうともした」


リリーネは正座をしながら膝の上の拳をぎゅっと握る。


「でも、お互いがお互い、歩み寄ることをあきらめてた。差別する側は愉悦と嘲笑を、される側は諦めと劣等感で両者の間には埋めようがないほどの深い溝がある。私の魔法でそれを変えることはができるかはわからない。でも、私は救いたい。生まれからじゃない、真に平等で公平な国を私は作りたいの。どう?」


しばらくあたり一帯が静寂に包まれる。今までとはベクトルの違うリリーネの夢にどう返せばいいかみんな困惑していた。その均衡を破ったのはやはりダンクだった。


「それは、果てしなく険しい道だ。今この時代で国を変えるということはそうたやすいことじゃない」


「笑わないの?私の夢に?」


リリーネは心配そうにダンクの顔を見る。昼間に見せていた強気な顔は鳴りを潜め、そこには年相応に将来の不安を抱えている女の子の姿がそこにはあった。


「笑うわけない。夢を追っている人間が同じように夢を追う人間を笑えるわけがない。それは自分の夢を汚すことにもなるからな」


ダンクはそういうと雲一つない夜空を見上げた。つられて俺たちも空を見上げた。俺がガキのころに思い描いていた田舎のきれいな空のようなものがそこには広がっていた。


「ガキが夢見ないでどうするんだ。大人の俺が必死こいてお前たちに追いつこうと頑張ってるんだ。お前らも俺みたいな老人に後れを取ってるんじゃねーぞ」


「よくそんな臭い言葉言えるわね。言われなくてもなってみせるわよ」


臨むところだ、とマリンは自分の左手に右手を握りこんで打ち付けた。ダンクはもともとこういう熱い男なのだろう。時折みせる冷徹な判断や思考は持ち前の頭脳、思い切った決断や突飛な行動は元来の性格、この相反する思考を持ち合わせているのが彼の魅力だろう。


俺も自分の夢はいつ叶えられるのだろうか。決して簡単ではない。でも、帰りたいという漠然とした気持ちはあるけれど、いま直ぐ帰りたいという気持ちではない。きっと、ここでの生活を俺は気にっているのかもしれない。いまこうして、同じ道を目指していろいろな考え方の人間と夢について語り合うという環境が俺には心地よかった。


「そしたらいつもみたいに当番を決めるか」


「そしたら私とマリンが最初にやるわ。マリン、さっきの話の続きをして」


「わかったわ。耳の穴かじってよーくきいておいてね!」


と二人が最初に挙手をしたので俺とダンクは早々に眠りについた。マリンとリリーネの会話が遠くから聞こえるのを最後に俺は深い眠りについた。

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