1-14章 スタートライン
「まず、お前には魔法の基礎を教える必要がある」
最初にガジャが言ったのはこの世界の魔法に関する知識だった。
「この世界の魔法で重要なのは、前にも話したがイメージじゃ。魔法は自分が作りたいものやりたいことなど何でもできる。しかし、想像力がないと魔法をうまく扱えないし、魔力がないとそもそも魔法を練ることはできない。要するに努力と才能が必要なんじゃ」
いきなりのファンタジーの説明で頭がこんがらがりそうになる。それを察してガジャは、
「飲み込みの早いシュートなら今言った言葉だけで分かるかもしれん。魔法の特訓は自分のイメージをアウトプット、イメージの修正その繰り返しじゃ。焦って目的を見失ってはならん」
そういって、彼は自分の足元にあったガジャの顔ほどもある石を軽々と持ち上げて見せる。
「例えばものを持ち上げるイメージができたとしてもサトルにはこの岩を持ち上げることはできんじゃろ。じゃがそれはサトルの想像力が足りないということじゃない。これはシンプルにサトルの魔力が足りないからできないことなのじゃ。これはシンプルな例じゃが、こういうことが分からずに魔法士として腐っていくやつをわしはたくさん見てきた。じゃから重要なのはコミュニケーションじゃ。できない原因を自分でため込まないようにすることじゃ」
一連の説明を受けたが、なかなかに奥が深いと感じることができる。ここまでの説明の中でもわからないことだらけだったが、とりあえず一番気になっていたことを聞いてみる。
「質問。想像力と魔力を両方鍛えるにはどうしたらいいの?」
とりあえず、いきなり多くの魔法を習得するなんてまず無理だから、俺は魔法の基礎技能を上げる必要があると考えた
「うーん。そうじゃなぁ...」
ガジャはそう言ってわざとらしく首をかしげると、じゃあこうしよう、といって小さい石のようなものを投げてくる。俺はそれを両手でキャッチすると、
「それは魔法石じゃ。魔法が使えるもの通しで位置情報がある程度わかるというものじゃ」
平たく言えば、現世でいうGPSみたいなものだろ。そう考えると想像するのは容易だった。
「これを使ってどうするの?」
至極当然だが、この魔法石だけわたされても何に使うかわからない。これを投げて的に当てる練習でもするのだろうか。あれこれ考えているとガジャは自分に背を向けて、
「この場所から同じ石を持つワシのところまで10分できて見せよ」
そういうと、彼は一瞬で俺の前から消え去った。そして、遠くに今自分が持っている魔法石と同じ感覚がはるか遠くにいることがわかる。よく見ると、近くには自分の持っている魔法石とは違う青い魔法石があった。ちなみに俺が持っている魔法石はオレンジ色のものだ。いきなり俺は見ず知らずの土地に一人で放りだされたわけだけど、
「要するに、山登りタイムトライアルってわけか!!」
そういって、俺は魔法石の反応を頼りに勢いよく険しい山道を駆け上がっていった。




