2-39章 グッとパーで別れましょ
「なかなかに面白い試験だな。ここでさらっと報酬をゲットしようぜ」
ダンクの呼びかけに全員が答える。魔力人形は俺とマリンは少しだけ経験があるため、ここでほかの受験生とは差をつけたいところだ。
「そんじゃ、俺は昨日の分のチップの話をするから少し待っててくれ」
「私もゼラウ試験官に少し話があるから少し待っててくれる?」
ダンクとリリーネがそれぞれゼラウに話をしに、この場を離れる。しばらくすると、小さい袋をもって走ってきた。
「おーい、昨日の分の報酬をもらってきたぜ。でもこれじゃ、せいぜい水一本分くらいしか買えないな」
「まあ、ないよりはまし、って感じだな」
ダンクが手に出したチップは思ったより数はなく、最低限の報酬と言った感じだった。俺たち3人でしばらく雑談していると、しばらくしてリリーネも戻ってきた。
「何を話してたの?」
たまらずマリンがリリーネに話の内容を聞く。
「いや、クリッピーに魔力人形の匂いでも覚えてもらえれば楽だと思ったから、ゼラウ試験官に魔力人形を見せてもらえますか?って言ってみたけどダメだったわ」
確かにクリッピーの捜索性能はかなりのものだが、今回それをあてにはできないらしい。それから俺は魔力人形について少し知っている旨をダンクとリリーネに伝え、情報を共有する。
「一定の魔力を放って魔法師に位置を知らせる、か。見つけるのは簡単だが、それだと分担して効率よく探したほうがよさそうだな」
ダンクの提案にみんな首を縦に振る。この広大なラムサー森林で全員で闇雲に探すのはさすがに効率が悪い。それならば、二人一組などで分担して効率よく探した方が魔力人形を見つけられる可能性は上がるだろう。
「それならグッパーで分かれるか」
と言って俺は拳を出す。しかし、俺以外の3人はそのまま無言で俺の拳を見ている。
「ぐっぱー、ってなんだ?知ってる?」
「いいえ、知らないわ」
「サトルってたまに訳わかんないこと言いだすのよ。許してちょうだい」
またしても現実と異世界のギャップに俺は頭を悩ませる。みんなからの散々ないわれように俺は声を荒げる。
「えーい!俺が合図を出したら手を握るか選ぶだけだ。それじゃあ行くぞ。グッとパーで別れましょ!」
半ば強制的に組み分けをして各々がそれぞれ手を出す。そして、なんと一発で二つの組に分かれることができた。
「俺はマリンちゃんとか。よろしくな」
「こちらこそよろしく!」
咄嗟に手をグーにしたマリンとダンクがタッグを組むことになる。よって、俺のペアとなった人物は...
「サトルさん、よろしくね。頼りにしてるわ」
「こちらこそよろしく。お互い頑張ろう」
パートナーとなったリリーネが自身の白銀の髪をなでた。
「そしたら今日の日没までに、ここに集合しよう。できたら正午ごろに合流したい」
「クリッピーがあなたたちの匂いを覚えているから、正午ごろにあなたたちと合流できるわ。それでいいかしら?」
「よし、これで決まりだな。それじゃあ健闘を祈ってるぜ」
「しっかりと魔力人形捕まえてきなさいよー」
そういってマリンとダンクは左手の森の方へと消えていった。
「私達も行きましょうか。サトルさんが魔力人形についての魔力探知をしながら、私がクリッピーで周辺を探索しながらしらみつぶしでいきましょう。あっちは多分勢いで見つけようとするだろうから」
「そうですね。こっちはこっちで堅実に見つけていきましょう」
勢いとパワーが売りのマリン・ダンクチームと堅実に見つけていく俺とリリーネのチーム。日没までに魔力人形をできるだけ見つけ出し、試験を有利に進めていきたいところである。俺たちはマリンたちとは反対方向の森へと入っていった。




