2-37章 幕が開かれる
「昨日は本当にごめんなさい」
俺とマリンは翌朝起きると、ダンクとリリーネに頭を下げた。二人とも最初は俺たちの謝罪に目を丸くしていたが、俺たちに顔をあげるように促した。
「俺もお前らのことを疑っちまってたからな。それはお互い様だ。もうそういうのは気にしないで行こうぜ」
「そうね。あなたが悪い子じゃないっていうのは昨日サトルさんから聞いたわ。私達にも非はあるわ」
二人の温かい言葉にマリンも力強くうなずき返した。これで心置きなく試験を続けることができる。
「昨日の分の失態はこれから挽回させてもらうわ」
「おう。あんま気負いすぎるなよ」
ダンクはそう言いながら豪快に笑った。試験はまだ3日目。今日を入れてまだ3日間も生き残らなければいけないため、これから先も苦難が続くだろうが、このメンバーなら何とかやっていけそうな自信があった。
「あの...今更なんだけど...」
リリーネが控えめに手をあげる。俺たち3人はリリーネに視線を集めた。
「邪魔じゃなかったらいいんだけど、私もあなたたちについていってもいいかしら?」
不意を突かれた言葉に俺たち3人は呆気にとられる。何かリリーネに対して不機嫌になるような言葉を言ってしまったのだろうか。
「成り行きで昨日まで一緒にあなたたちといたけど、皆さんとあまり関わりがあったわけでもないし、皆さんが許してくれるのでしたらご一緒したいと思ってて...」
どういうわけか、リリーネはやけに俺たちに下手にでて気を使っているようだった。俺はなるべくリリーネに気を使わせないようにフォローを入れる。
「いやいや、この試験はお互いの助け合いが重要ですし、ぜひ一緒に協力しましょう!リリーネさんの力も俺たちには必要です」
「そうね。あたしも同性の受検者と一緒にやっていけるのなら心強いわ」
「そういってもらえると助かります」
マリンも俺に賛同してくれたので、リリーネはホッと胸をなでおろしていた。リリーネが今日の朝までそんなことに悩んでいたなんて思わなかったが、これで今度こそ、この4人で新たに再スタートを切ることができる。
「よし、そしたらこれからの方針を立てたいんだが、俺から一ついいか?」
ダンクが取りまとめのために俺たちに意見を聞く。俺たちが特に意見がなさそうなのを見て、ダンクは話を続ける。
「昨日なんだかんだ忙しかったせいで、昨日の分のミッションの報酬をまだ受け取れていないんだ。そのついでに今日の分のミッションをみんなで受けに行こうと思うんだが、どうだ?」
そういえば、別れ際にルークとスタイルのいい女の受験生とそんな会話があったことを思い出した。それに今日の分の報酬も受け取れるなら受け取りたい。ラインナップを見たところ、水や食料、ランタンや寝袋など試験を有利に進められそうなものがたくさん売っていた。できることなら協力という人海戦術を生かして、この試験をクリアしていきたいものだ。
「うん、それが一番いいかもね」
「あたしもそれでいいわ」
俺とマリンがそれぞれ同意を示し、リリーネもうなずき返した。
「よっしゃ、それでとりあえずは決まりだな。それじゃあ俺についてこい!」
そういってダンクは勢いよく先頭を歩きだした。マリンとダンク、そしてリリーネとの4人で試験を乗り越えていく、新たな仲間との共闘に俺は胸を躍らせていた。




