1-11章 在りし日の記憶
意識というのは不思議なもので、自分が今現実にいるのか夢の中なのかはっきりしないことがしばしばある。自分が今いるのは、周り一帯が緑の草が生い茂っている野原のような場所だった。地平線の奥まで草が生えているその空間はなんだか見覚えのある空間だった。そして、自分の間後ろを振り向くと、そこには二人の人影を遠くに見ることができた。俺はその場で立ち上がりその人影のほうに向かって走っていく。
「...あれ?」
しかし、草むらを走っているうちにある違和感に気づく。どんなに走ってもその人影に追いつくことができないのだ。
「!?待ってくれ!!」
やがて二つの人影は地平線の奥に消えていく。まるで二人は俺のことなど知らない赤の他人だとでもいうかののように。
「そんなわけないんだ!!」
俺は二人に向かって声がかれるまで叫ぶ。
「俺は、あなたたちのーーー」
そこで俺は慌ててバッと飛び起きる。今の今まで俺は夢を見ていたらしい。その証拠にここはガジャの寝室で、窓から外を見るともうすぐ日が沈むところだった。さっきのは夢だったのだろうか。いや、不思議とそんな感じはしない。俺にとって夢は、
「確かに存在していた」
そんな気がする。確信はないがそういう自覚が自分のどこかにあるのは確かだった。曖昧なその夢はやがて思い出せなくなり、自分がどんな夢を見ていたのかさえ思い出せなくなった。
「大丈夫だったか?かなりうなされていたが」
「うわ!?」
いつの間にか俺の近くにガジャが立っていた。こんな大柄な人なのになぜ気配を感じないのか。
「いつから聞いていたの?」
「いつからというのはわからんがうなされているのはずいぶん前からだったような気がするから...起きたとこからは全部見ておる」
あっけらかんとガジャは答えて見せた。恥ずかしいところを見られて、俺はガジャから視線を逸らす。それを察してか、ガジャは一言だけ言って部屋を出た。
「お前さんを見ているとあいつのことを思い出す...」
と。




