2-21章ただのガキんちょ
俺たちは寝床を作るために、適当に発破を集めてそれを地面に置いた。なるべくぬかるんでいない地面を選んだが、それでも寝るときに湿っているのは不快なのでしっかりと準備をしておく。
「ずっと気になってたんだが...」
ダンクは尻のポケットから何かを取り出す。ボッと手から火が出て先端のほうが赤く燃えると、ふうとダンクが白い息を吐いた。
「お前の探している女の子二人どっちのほうが好きなんだ?」
俺は吐いた息が臭かったので、鼻をつまみながら横になる。枝が四方八方に伸びているせいで夜の空を完全に見ることはできない。
「どっちって、そんなの今のはどうでもいいだろ...」
「今のでどっちかは好きだってことが分かっただけで俺は満足だ」
ダンクはもう一度それを吸うと、トンと自分の膝で先端の灰を落とした。ほのかに明るかった空間が一気に暗闇に変貌する。正直、あと1日が俺の中での二人を探すタイムリミットになると考えている。この途方もない広いフィールドで二人の受験者を見つけ出すのは相当難しいことが今日で分かった。それに、こちらも俺との合流を考えてくれているとは限らない。それほどあの手に魔法は一瞬で、作戦など立てる暇などなかった。ペティーは今どこで何をしているのだろうか。収まることのない焦燥感が胸の中を支配する。
「あんま思いこむなよ。二人は必ず見つかるさ。そう、明日までにはな」
「何でそんなことが言えるんだよ」
俺がそういうと、ダンクはコンコンと自分の頭を軽く叩いて見せる。
「ただの俺の勘さ。俺は運だけはいいんだ」
そう言って。もう一度上に向かって白い息を長くはいた。ただの勘って。そんなもの俺にとっちゃなんの気休めにもならない。勘なんて俺はこの世で最も信用していない。
「会えるさ。そこに愛があるならな」
思いつめた俺の表情を気にしてか、ダンクは慰めるように俺に行った。そんなに俺の心理は顔や態度に出ていたのか。
「ずいぶん恥ずかしい言葉を言うんだな」
「馬鹿いってんじゃねえ。俺はお前らより何年も生きてる大人だぞ。ガキじゃ体験できないような経験もしてるっつーの」
言葉の割には、彼の言動には自慢や驕りと言った雰囲気は全くなく、本心からそういっているようだった。
「ガキんちょなんて、恥かいて、迷惑かけてなんぼだろ。その尻ぬぐいのために大人がいるんだ。お前こそ一丁前にかっこつけてんじゃねーよ」
ダンクは近所のおっさんのような雰囲気で俺をたしなめた。彼は手に持ったものを地面に落とすと、靴底でそれを踏みつぶした。
「明日のためにお前は早く寝ろ。俺が見張りをやっといてやる」
「そしたら、どこかで代わるぞ。夜通しはきついだろ」
「あんま気にすんな。俺が起こしたときに起きてくれればそれでいい」
俺はここでダンクに引き下がることもできたのだが、今日一日の歩いた疲れがここにきて睡魔となって襲ってくる。これに抗えるほど、俺の精神は強くはなかった。
「それじゃあ、先に寝る」
「ああ、おやすみ」
そういって、俺は顔を葉っぱの中に埋めるとゆっくりと目を閉じる。目を閉じれば感じていた不安が少しは和らいだ気がした。ダンクがポケットからもう一本取り出して、手から炎を出す音を最後に、俺は深い眠りへとついた。




