2-12章 バルセルク魔法学校入学試験
馬車での移動は順調に進み、予定通りにバルセルク魔法学校に到着することができる。俺たちは御者の人にもうすぐ着く旨を言われたため、降りる準備をする。
「ペティー、もうすぐ着くわよ。早く起きなさい」
「...えぇ...もうつくの...」
若干、まだ寝ぼけているみたいだが、ペティーも目をこすりながら目を覚ます。そして、俺たちは馬車の荷台の中からバルセルク魔法学校の全貌を見つける。
「まじかよ、デカすぎだろ...」
俺の最初に出た感想はとにかくデカい、ということだった。最初にそびえたつ鉄製の青銅のような門は、俺の身長の3倍近くの高さがあり、この馬車が余裕で通れるほどの広さがあった。そして、校舎の大きさもあの某建設中のあの建物を彷彿とさせるような大きさがあった。まさに、大陸最大の魔法学校と呼ばれるだけの規模はあった。
「いよいよね、サトル」
「ああ...」
俺とマリンは二人で顔を見合わせる。バルセルク魔法学校に続くこの道に、続々と受験生をのせた馬車が到着しつつあった。ほどよい緊張感が今は心地よかった。
「それじゃあ到着したよ。3人とも荷物を下ろしてくれるかな?」
御者の人にそういわれ、俺たちは荷台の中にのせていた荷物を持って降りる。と言っても試験を受けるだけなのでこれといった大きな荷物はなかった。
「ここまで運んでいただきありがとうございました」
「いやいや、こちらこそ。3人とも試験頑張ってね」
そういうと、御者の人は馬車の上にのってきた道を引き返していった。俺たちは改めて目の前にそびえたつバルセルク魔法学校を目にする。
「よし、それじゃあ行くぞ」
"バルセルク魔法学校入学者はこちら"と書かれた看板に沿って俺たちは試験会場へと向かう。3人はこの間、お互いに口を利かず、ただ黙々と会場まで歩いて行った。
試験会場というか、集合場所となっていたのは、2千人ほど収容できそうなほどの体育館のような場所だった。受験者と思われる人は思い思いの場所に腰を下ろして、隣の人と談笑していたり、一人で集中している者もいる。
「わ、私たちも近くに座ろうか」
ペティーが言ったことに俺たちもうなづき、手ごろなところに腰を下ろす。周りの受験生を観察している中で俺はあることに気づく。
「みんな、魔法杖のようなものを持ってるな」
「確かにそうね。あたしたちは持ってないけど」
「でも、お父さんから魔法杖のことなんて何も言われてないよね」
こそこそと話をする俺たちは互いに首肯する。ファンタジーの世界の魔法使いで魔法の杖というのは、ある種のお決まりのようなものがあるが、思い返してみれば俺たちは魔法の杖を使った魔法の練習はしていない。
「魔法の杖って、魔法使いの必須道具なのか?」
「いや、そういうわけじゃないと思うけど。ペティーは何か知ってる?」
「いや、でも魔法の杖を使わない魔法師のほうが少数派なのは知ってる。何でかはわからないけど」
ペティーもマリンも魔法の杖のことは詳しく知らないそうだ。まあ、現世でみたファンタジー要素をこの世界でも適用するというのは、いささか強引な気もするが。
「静粛に、受験者は私の近くに集まってくれ」
突然の大声に俺たちはビクッとさせられる。前にはいかつい雰囲気の試験官のよう人が前に立っている。俺たちは少ない荷物を持って前に移動する。そうして受験生が集まったのを機に試験官の男が声を張る。
「それでは、今回のバルセルク魔法学校入学試験の概要を説明する」
そして、俺たちの運命を決めるバルセルク魔法入学試験がいまままさに始まろうとしていた。




