2-3章 早い再開
入学試験まで残り一週間を切った。今日も今日とてガジャとの魔法の練習が行われている。ガジャの説明は分かりやすいものも多いが、練習自体はかなりハードだ。
「もう一回じゃ、3人でかかってこい」
「「「はい!」」」
俺とマリンは2人でガジャの左右にそれぞれ展開する。ペティーは俺たちの動きを補佐するように、俺たちに魔力による強化を施す。
「はあ!!」
マリンがガジャの背後から攻撃魔法を散弾の様に発射する。しかし、その魔法の弾幕をガジャはその方向に見向きもせず、すべて防御魔法で完封する。
「こっちだ!」
俺はガジャの気をそらすためにガジャの正面に注意をそらす。ガジャはこちらに目線だけ上げると、俺はガジャに向かって攻撃魔法を放つ。しかし、ガジャ本人に魔法をぶつけるようなことはせず、彼の周りに向かって魔法を分散させた。ガジャの周囲には土煙があがり、ガジャの視界が不鮮明になる。
「いまだマリン!」
「任せて!」
不規則な軌道でマリンは土煙の中を素早く移動する。そして、ガジャの首元で得意の炎をぶつけて---
「甘い」
「うわあ?」
土煙の中から、悲鳴の声とともにマリンの体がこちらに吹き飛ばされる。
「マリン!?」
「マリンちゃん!?」
俺は吹き飛ばされたマリンの体をしっかりと受け止める。そして、ペティーはすかさずマリンに治癒魔法をかけた。
「マリンは魔法を分散させ過ぎじゃ。もっと魔力を収束させんと威力が十分に出せんぞ」
土煙をかき分けながら、ガジャは手をパタパタと横に振りながら出てくる。ガジャの体には傷一つついてなく、3人いても全く相手になっていなかった。
「サトルはそもそもワシに攻撃しないで妨害に徹するという作戦がみみみえじゃ。ペティーも治癒魔法によるリカバリーは早かったが、サトルとマリンをもっと的確にサポートできるはずじゃ」
「「はい!」」
俺とペティーはガジャのアドバイスに大きく返事をした。入学試験まであともう少しだが、直前まで個々の魔力技術をできるだけ高めておくことに越したことはないだろう。
「それじゃあ、各自休憩じゃ。15分後に再開じゃ」
そして、ガジャとの魔法の特訓はひとまずお開きという形になった。
俺たちは、3人で集まっていつものように談笑していた。そして話題は、ガジャの魔法力についての話になった。
「ガジャさんってすごい魔法上手いけど、誰にあんなに教わったんだろう?」
「うーん。あんまりお父さん過去のことは話したがらないからなー。私もあんまりわからない」
「まあ、とんでもない努力量なのは間違いないだろうな」
俺たちも決して魔法の使い方が下手なわけではないが、ガジャの実力はそれをはるかに上回る。おそらく、ここにルークを足しても話にならないほどの力量差はあるだろう。
「あたしももっと魔法頑張らなきゃ」
「あんまり無理しちゃいかんぞ。試験前なんじゃから」
「うわ!?ガジャさん!?いつからいたの?」
「今ここに来たばっかじゃ」
足音も立てずに近づいてきたガジャが近くの座れる場所に腰を下ろす。
「今日は2人この後呼んでおる人がおるんじゃ」
「呼んでる人?」
俺たち3人は顔を見合わせるが、3人とも心当たりはないようだった。しかし、ガジャが呼んだというその二人は、噂をすれば、こちらへと足を運んできていた。
「どうも皆さん。お久しぶりです。」
「どうも」
2人のその対照的な挨拶は、まさにここの親子、という感じですこし可笑しかった。
「リックさん!ルーク!」
魔法交流会でひと悶着あったリックとルークがウィットネスまでわざわざ足を運んできてくれたのだった。




