9、茶会
王家主催の茶会に行くことになった。
ちょっと話を聞いただけでも王子たちの嫁探しなのがあからさまで、どうせ私はハブられるだろうってマイペースにすごしていたら、伯爵自ら第一王子の所へ行けと御命令だ。
「プクス」「クス」って姉たちが笑ってるところを見ると、第一王子に瑕瑾があるのは確実。
ちなみに長女は第二王子、次女は第三王子のところへ送り込まれるらしい。
つまり、そのどちらかが王太子になる可能性が高いと思われてるわけだ。
私が思うに、王族と婚姻するのにぎりぎり資格有りな伯爵家から、王太子妃を出すのはさすがに無理だ。
どう考えたって、もっと力のある公爵家や侯爵家、辺境伯爵家をバックにした方が絶対いいもの。
でも、姉たちの美貌をもってすればそれも夢ではないと、本人たちはもちろん両親も本気で考えているようだ。
いやぁ、かの有名なエリザベスもメアリーも、気品はあるけどけして美人じゃなかったことを知る身としてはね。
一に血筋、二に血筋、三四がなくて五に財力。まあ、素人の無責任な意見だけどさ。
新しくドレスを作らせたり、装飾品を買い求めたりしてる姉たちを尻目に、私は家庭教師に乞うて予習をば。
この先生、自分の得意分野について尋ねられる分には機嫌がいいって、だんだんわかってきたよ。
単に「次までに調べてきます」って言えばいいだけなのに、地雷を踏むと不機嫌になるんだよなぁ。
ちなみに王家についてはフェチかってくらい詳しかった。
まあ、自国の王家について何にも知らない私みたいな奴の方がめずらしいんだろう。
まず、もっとも特徴的なのは王家が有する魔法。
一つの魔法を代々受け継いでいく貴族家とは違って、いろんな魔法がランダムに発現する。
いわば魔法のデパート。フォー!
もちろん今回、問題になるのは王子たちが有してる魔法で、第一王子が植物魔法、第二王子が光魔法、第三王子が火魔法。
はは~ん。第一王子をハズレとか言っちゃうわけだ。……アホだろ王家。大丈夫かこの国。
なんか価値ありそうに崇めてる光とか火もどうせしょぼいんでしょ?
案の上、第二王子は前世の体育館くらいの空間を一時間ほど照らせる。ただし文字が読めるほどの明るさはない。
第三王子は五メートル四方までの物体を炎で包むことができる。ただし生木などは表面がこげるだけ。
……いや、すごいよ? すごいけどさ。
それでいずれ王にって、政治と何の関係が?
あ、求心力か。こんなんで集まるとか安い忠誠心だな。
それに比べてめちゃくちゃ有用そうな植物魔法。
第一王子は自らの魔法を恥じて、人前で使ったことがないから何ができるかは不明らしいけど。
いや、かなり期待しちゃうなぁ~。