66、活用方法
例のバングルは、我が家の使用人には希望者にガワだけ買わせて、動力石は男爵家が支給することにした。
グリム男爵家当主の直属の部下はその限りでなく、完全に装備あつかい。
でも、まず彼らは魔法のスクロールで魔法を覚え、私が自主的に行ってきた訓練と同等の訓練を行わなければならない。
もともと白兵戦は得意な連中だから、クレマンティーヌ・ブートキャンプを施した上でバングルを与えれば、魔法兵団の出来上がりというわけ。
まあまあ、そんなに厳しい訓練でもないしね。非常に根気がいるだけで。
これなら背後、つまりマッケンジー辺境伯領側から攻められても、少ない人数で撃退できるだろう。
海上でも、相当な戦力アップが期待できる。
カーペンター子爵家の技術力なら、バングル自体に魔法を組み込んで、装着すれば誰でも高威力の魔法をぶっぱなせるようにすることも可能なはずだけど。
子爵家全体としては、浅く広く人々の生活の質を押し上げることを目的としていて、ついでに細く長く儲けられればなおよいって姿勢を崩さない。
私が特注した魔法機構も、いずれは個々の仕組みをバラ売りする可能性もあるけど、いまのところは研究者魂に火がついた前子爵の暴走というか、まあ、鉱山関連の脅しがきいたというか。
いずれにせよこれ以上、バングルに機能を追加する気はないそうだ。
これにはマックスも私も大賛成。
訓練を施す手間はあるけど、敵に鹵獲されただけでこちらのアドバンテージを失う上に、被害を被るようなものを使うより断然マシだ。
実際、訓練を受けてない使用人たちがバングルをつけても、スクロールで覚えた魔法を一日に使用できる回数が増えるだけだからね。




