39、招待状
新生活を満喫しながらも、魔法への興味はつきない。
研究とか、そんな大袈裟なものじゃないけどね。
面白いのは魔法のスクロールで覚える注水が、私の使う水魔法とまったく同じだということ。
このへんに魔法の秘密があるんじゃないかと思うんだけど。
あまり難しいことを考えても頭が痛くなるだけなので、私のやることは変わらない。
目下、一杯分水を出すと止まる、次の一杯分を出す……この止まるの部分をどんどん短くしていって、最終的にはなくすのが目標だ。
当然、毎日水を出すことは続けていて、ちょっと息をつくというか、出る水が細くなる瞬間があるってところまでこぎつけた!
そこで平行して、できるだけ細く水を出すことにチャレンジしてる。
それができたら次はその勢いを強くしていくのだ。
もう、私が何を目指してるかわかるよね。
高圧洗浄機~! いや別に洗浄はしなくてもいいんだけど。
人でも獣でも魔物でも、あの勢いで水が当たったら、かなり痛いんじゃないかと思って。
そんなこんなでまったり過ごしてたら、第一王子から誕生記念パーティーの招待状が……
これは何をおいても行かねばなるまい。
しかし、移動時間を考えると本当にぎりぎりの日程だ。
別途、送られてきたメグ・ライム・クロスバーの手紙では、そのことを真摯に謝ってたけど、ぐだぐだ言い訳をするような方ではないので、どこからか思わぬ妨害があったと察するしかない。
旦那様の言うことをきいて、ドレスを作っておいてよかったよー。
言うまでもないことだけど、マックス・ブルー・グリムは海運業者だ。
既存の船が気に食わないから造船業もはじめただけで、主体は運送業。
つまり、輸入業者ではないのだけど。
我らがグリム男爵領には、商業ギルドのビルがドーンと建ってることからもわかる通り、小規模な街とは思えないほどたくさんの商会があって、手に入らないものはない。
どこが田舎? 流行の最先端だよ。
もっとも私は、はなから流行なんて追ってない。
その時々に思いつきで着たいものを着てるだけだ。
だから、まわりからどう思われようと気にしないし、真似をしてくれてもそれはそれでけっこう。




