1、クレマンティーヌ
今日はきのうの続き……そんな感じで記憶はつながってるんだけど、朝、起きたら転生してたっていうのはなかなかの衝撃だ。
前世の私は、就寝中に死んでしまったんだろうか?
鏡をのぞけば、金髪巻き毛の可愛らしい少女が不思議そうにこちらを見てる。
目、青っ! 色、白っ!
体はそんなわけだけど、中身は前世の私に彼女の記憶が追加された状態だ。
クレマンティーヌ・ジェシー・アボット、十一歳。
アボット伯爵家の三女で、あまり自己主張をしない子だった。
まあ、仕方なかろう。
私はいまの私を十分可愛いと思うけど、姉たちの容姿が段違いに整ってるせいでこの家では並あつかい。
本人も引け目を感じてた。
目は口ほどに物を言うってね。
両親のいかにもがっかりだって眼差しとか、特に伯爵は男の子が欲しくてがんばってるのに「また女か」って言ったとか、使用人たちのヒソヒソ話が耳に入ったり、姉たちは日々露骨にマウントをとりにきたり……
可哀そうに。
記憶の中の傷付いた私がシクシク泣いてるよ。
でもまあ、おばちゃんになると上手く折り合いがつけられるようになるから大丈夫。
第一、考えてもみてよ。
いくらお手入れしても過去には戻れない肌、白髪は染めても染めても生えてくる、夕方になると目がかすむ、肩は凝るわ腰は痛いわ……そんな状態からいきなり十代の美少女だよ? 浮かれちゃうよ!
兄弟は他人のはじまりってね。家族だろうと、それこそ使用人の言うことなんて、なんも気にすることはないさ。
私の私による私のための満足感。
しかもこの世界、魔法があるし、もう毎日うっきうきだよ。
お読みいただきありがとうございます m(_ _"m)
ウツ展開ないしで元気に行きます!
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