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アル中の父を想う

作者: 瑶

 


 私の父親はアル中だ。


 彼の部屋には、いつも数本のビールの空き缶が入れ代わりながら転がっていた。

 毎晩机に座ってパソコンをいじりながら酒を飲む父親は、一緒に住む母方の祖父母に嫌われていた。

 

 そして私が小学校四年生になった時、両親は離婚した。

 

 私は決して、父親を嫌いではなかった。

 

 彼の趣味は写真で、カメラを大切に保管していた。

 そしてたまに私を連れだしては、ポートレートを撮った。

 一眼レフを覗きながら私の名前を呼ぶ父は、とてもかっこよかった。

 得意なパソコンで写真を編集し、何冊かの写真集も作っていた。

 私はそれを、照れながら眺めるのが好きだった。

 

 離婚した後、毎年私の誕生日には、彼が選んだであろうプレゼントがポストに入っていた。

 私はそれを、部屋に飾っている。

 たまに見返しては、父親のことを思い出すのだ。

 

 中学校二年生になると、父親は再婚した。

 同じ年、彼からのプレゼントは来なくなった。

 

 私と父親とのつながりは、一度断たれた。

 

 しばらくして、私はインスタグラムを始めた。

 そして、父親のアカウントを見つけた。

 なぜか、フォローはできなかった。

 

 でも、父親が生きていること、彼がまだ写真を続けていることを確認し、私は安堵した。

 

 そして今も、父親のことを想う。


 その一眼レフのレンズの奥には、誰がいるのだろう。どんなところで暮らしているのだろう。

 お酒はほどほどにしてほしい。ちゃんとご飯を食べてほしい。


 そしてもしよければ、今年の私の誕生日。


 あなたからのプレゼントを待っています。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 何だか他人のお父さんの幸せを望んでしまう。 [一言] なぜかフォローできなかったってところが、わかるわ~って感じ。
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