終章
深夜。先ほどまで帰り道を歩いていた祭り客がいなくなり、夜空は晴れているのか白い雲が煙のように広がっている。
「おっと。歩きにくいところじゃの。」
かぐやは、横断歩道の白い部分だけを歩いていた。
見かねた人はアドバイスをかけた。
「黒いところも歩けるよ。」
「そうなのか?不可思議なものだ。でも悪くない、面白いな。」
黒い部分も足で踏んでみると、落ちないことを楽しんでいる。
日常で歩くであろう。
なのにわからないと言うかぐや。
「ほんと、変わった人だな。」
相手に聞こえない声で、本音を発した。
かぐやは、人が横断歩道を見ても平然としているのが不自然に思い、他にどんなことをしているのか気になり始めていた。
「うぬはどんな遊びをするのだ?」
「いきなり質問ですか?まあ、ゲームとかするよ。」
「げいむ?それは蹴鞠と同じか?」
「全然違うよ!運動はしないし...」
「なら花札と一緒か?」
呆れてため息をつく。
「うわ、ジェネレーションギャップだよ...そういう遊びもできたんです!」
強引に納得させたが、相手は同い年くらいの容姿だ。
なのに今どきの物を知らないことに、疑問を抱き始めた。
すると、かぐやの表情が一転し、切なさが見えた。
「はあ、そうか。時代が変化しているのだな。この世でうぬは、いきられないかもしれぬな。何もかもが真新しい。」
人は首をかしげた。
「そう?普通だと想うけど。」
「うぬもそう思えるようになってみたいものだ。」
刹那の顔は崩れて、幼さが感じられる笑みをこぼしたかぐやは、ふと歩きだした。
「あれ?どこに行くの?」
時間が近づいていた。かぐやの帰るべき光の奥にーーそのことは、人には教えられない。
「月が気になっただけだ。それより約束してくれぬか。次逢えたとき、今日のように、うぬと歩いてくれ。」
次の瞬間、目覚ましが鳴り響いた。
「(またあの時の夢だよ。)」
でも、あのことがきっかけとなって親友ができた。
名前は"竹中かぐや".......なんだか、あの人と似てるんだ。
月日が経っても、夏祭りに通った竹林を訪れている。
だけどあの日以来、竹林は見ていない。
元々そこには、竹なんて一本もなかったのだからーー
最後に少しホラーなとこありますよね(笑)
自分はホラーダメなのに、不思議なことってなると時々怖さがあるので、そういう味を引き出せたかなと!
自分で読み返して、ここに作品載せてるんですが、自身でもビビりましたよ(笑)