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会合

「今年2回目の会合を始めたいと思います」

 会合が始まった。ササミは商会長や副会長、庶務や会計とともに正面の席だ。

 教室のようにぎっしり並んだ机。50人に少し切れるのは空き店舗があるからだ。

「初めに、新しい仲間を紹介します。笹岡みつる君です」

「初めまして。笹岡みつるです。安西甘露堂さんの隣で熱帯魚屋を再開します。なにも分からないのでよろしくお願いします」

「「「「おーっ」」」」

 立ち上がって挨拶をすると、思っていたより大きな歓声と拍手が巻き起こった。

「笹岡君は大学生になったばかりなので、常時店は開けられない。そうだったね」

「はい。時間がないのでグッピー1本に絞ってブリーディングしようと思っています。通販をメインにして、店売りは当てにしない方向です。ただ、日中店を閉めているのは外観上よくないので、店の前半分をショールームにして開放したいと思っています」

「ほう。それはいいね。期待しているよ」

「はい。頑張ります」

 これで、出番は終わった。はずだった。


「さて、四半期が終わり、信用金庫の新田さんから簡単な報告が来たのですが、やはり、ショッピングモールの影響が大きいのか、売り上げは前年割れの状況です」

 いったん言葉を切ったが、商会長の話は続いた。

「問題点はいろいろあると思いますが、空き店舗をどうするかについていいアイデアが出たものは発言してください」

 そう言って見渡すが、みんなは顔を伏せるだけだ。

「まあ、そう簡単に解決できる問題でもないですし、次回に持ち越したいと思います。ところで、笹岡君?」

「は、はい」

「君の知っている商店街の事を教えてくれないかね?」

「えっと、商店街については何もわかっていないというか、素人ですけど」

「ヒントがあればいいんだ。知っている範囲で教えてくれないか?」

「はい」

 無茶ぶりだ。

 事前に言っておいてくれればいいのに。


「えっと。私は福井出身なんですが、福井では成人1人に車が1台あるという感じで、その影響か駅前商店街も人が減り、活性化で頑張っているみたいです」

「なるほど」

 商会長が相槌を打ってくれた。

「駅前にはビルほど大きな恐竜のモニュメントがあります。恐竜王国をアピールする狙いだと思います。でっかい地下駐車場が出来たのは集客狙いでしょう。新幹線が来ることになり、駅がリニューアルしました。駅の東と西、両方に新しい商業ビルが出来ました。FMラジオの放送局が出来ました。激安のカラオケ店が出来ました。飲み屋横丁が出来ました。あとは、地下のコーヒー専門店がカップルに人気です。あとは、あとは。土産物屋が出来たんですが、トイレありますって看板が出ていて助かりました。駅前だからか、コンビニにもトイレがないんですよね」

「それだ!」

「え?」

 商会長がいきなり大きな声を上げた。


「そうか、トイレか。それはいいな」

「以前話をしていた自販機コーナーを付けて、売り上げで清掃費を賄うのはどうだ?」

「いいな、それ」

「隣の店が担当するか希望者を募るかだな」

「商会預かりで様子見だろう」

「なんにしても、出て行った奴らの店をトイレにするのは気分がいいぞ」

「改装する必要もない。そのまま使えるしな」

 次々と発言が飛び出し、会議室はにわかに活気にあふれた。

 トイレの話でここまで盛り上がるとは思わなかったが、うまくいったらしい。


「自販機は設置も撤去も自在だし、なによりお金のかからないのがいいですね」

 一通り騒ぎが収まると商会長が口を開き、笑いを誘った。

「全てをトイレにするわけにもいきませんし、とりあえず喫茶小百合で試すのはいかがでしょう?トイレもきれいだし場所もいいと思いますが」

 そう言いながら見渡すが、皆はいいんじゃないかと好感触だ。

「新規店の誘致は引き続き行っています。隣の店が買い取っての店舗拡大改築案も生かしたままでいいと思います。それを踏まえたうえで、この案は即決でいいと思いますが、反対意見はございますか?」

 皆は顔を見合わせながらも反対意見は出てこなかった。

「では、とりあえずやってみましょう。笹岡君には功績ありということで、商会費は次回の会合からでいいと思いますがいかがでしょう?」

「いいんじゃないか」

「いや。ブリーディングって言うと魚が増えなきゃ利益は出ないだろう。来年からでもいいと思うが」

「学生なら勉強もあるだろうし、俺も来年からでいいと思う」

 だが、そんな声がある一方で、ひそひそ声ながら決まりは決まりだろうとか、店を構える以上プロだとか、そんな反対意見も聞こえた。


「来年からでいいんじゃないかしら」

 後ろの方から女性の声が聞こえた。

 それは決して大きな声ではなかったが、会場が静まり返った。

 発言したのは安西甘露堂の女将だ。

 女神とさえ言われる美女に嫌われたい男はいない。

 その影響力を知っているがゆえに発言しない彼女が声を上げたのだ。

 緊張に包まれた会場だったが、次の瞬間には友好ムードに変わった。

「ショッピングモールに店が引き抜かれて暗かった商店街に新しい風が吹いた。彼を応援することが商店街の発展につながると思う」

「立ち止まっていては衰退するだけだ。変えていこうじゃないか。新しい力と共に」

「学生の本分は勉強だ。勉強と生活と商売。彼には時間が必要だ。1年待とう」

 彼女に好かれたいと思うのに年齢は関係ないらしい。口調まで改まった賛成意見が会場を埋めた。

 反対していたはずの者たちまで、笑顔でうんうんとうなずくありさまだ。

 少ない女性陣はというと、あきれた顔はするものの、負け戦に参加する愚は犯さないようだ。

「それでは来年からということにしたいと思います。商店街の活性化案は引き続き議題として継続しますのでお願いします。ほかに、議題としたいこと、言っておきたいことがあれば、ぞうど」

 誰も発言しない。これではいけないのだが、いつものことだ。

「意見がないようですね。それでは、これで第2回の会合を終わります。次回の会合は夏祭り直前となります。昨年と同じという事で準備を進めますので、良い案があれば早めに連絡をお願いします。以上です。お疲れさまでした」

 会合が終わった。


「頑張れよ」

「期待しているぞ」

 ササミはといえば、ホッとする間もなく、挨拶に来る人や、握手を求めてくる人に対応していた。

 商店街の活性化は即自分の店の売り上げに響く。

 新しい波を感じた人たちだろう。

「よく頑張った。偉かったね」

「ありがとうございます」

 食堂のおばちゃんにしてみれば息子のようなものなのだ。頭を撫でていった。

 甘露堂の女将が視線を送って来ただけで帰っていったのは、親しくすると嫉妬が芽生えるからだろう。

 みんなそれぞれの思いがあり、それが行動につながってゆく。

 ササミはプロの厳しさと温かさを感じていた。



「ご苦労さんだったね。感想を聞かせてくれるかい?」

「もう。無茶ぶりが過ぎますよ。こんなことしてると新参者に嫌われちゃいますよ」

 片付けが始まったので手伝おうとすると商会長が話しかけてきたが、笑顔だったので冗談で返した。

「ははは。君だから無茶ぶりもしたんだ。これでも人を見る目はある方なんでね」

「そんな。会うのはまだ2回目ですよ」

 それこそ無茶というものだ。

「今回の会合に来る必要はなかったのに君は来たよね」

「安西甘露堂の女将さんに言われたから来ただけですよ」

「それはたいした問題じゃない。いいかい?子供は過程が評価される。頑張ったかどうかがね。だが、大人は結果が全てだ。来たか来ないか、それだけだ」

「はあ」

 なんか面倒くさそうな人だ。

 そう言えば琴美がそんなことを言っていた。

「君がここに来た時、手伝わなくてもいいと言ったはずだ。やらなくてもいいならやらないのは普通だ。だが、君は出来る事をやろうと手伝った。それが結果だ。商店街の話も、普通なら2つか3つ出ればいいほうなのに、必死で記憶を掘り起こして役立つ情報を引き出した。それも結果だ。これはわずかの違いだが、長い間に大きな差となってくる。それが人生なんだ」

「はい」

 よく分からないが、いい話のようなので真面目に返事をした。

「そんな人生を歩んできた君だからこそ無茶ぶりをし、君は見事にそれに応えてくれた」

「たまたま知っていただけで、運が良かったって感じですけど」

「運も実力のうちだ。試してみようか?」

「何、を、ですか?」

 なんか怖いと、かまえた。

「新規参入者を探しているが、業種がかぶると共倒れになるので、空き店舗と同じ業種が望ましい。ここまではいいね?」

「はい」

「お隣は安西甘露堂だが、反対側のお隣さんは空き家だね」

「たしかに、シャッターが閉まっていました」

「そうだ。そこは焼き鳥屋さんだったんだが、君の知り合いで、焼き鳥屋を出店してくれそうなところは知らないかな?」

「あっ!」

「やはり。その顔は知っているんだね?」

「はい。おじさんが焼き鳥のチェーン店をやってます」

「運も実力のうち。分かったかね?」

「ははは」

 もはや笑うしかなかった。

「無理にとは言わない。話だけでもしてくれるかな?」

「分かりました。聞いてみます」

「よろしく頼むよ。じゃ、片付けも終わったようだし、我々も帰るとしよう」

「はい」

 商店街の会長はいい人なんだろうけど、ほんとに面倒くさい人みたいだ。

 なにはともあれ、こうして商店街の会合は終わった。


☆☆☆☆☆


 家に帰ったササミはスマホを取り出した。

「おじさん?みつるです」

「おう。東京はどうだ?」

「毎日掃除しかしてませんよ」

「ははは。母親のありがたみを知るいい機会だ。頑張るんだな」

「はーい。ところで、叔父さんは東京に来る予定ってあります?」

「来週会議で行くな。欲しいものでもあるのか?」

「福井名産の羽二重餅が各種欲しいんです。バリエーションはかなりあったと思うので」

「そりゃ構わんが、送ろうか?」

「おじさんを脅かすチャンスなので持ってきてもらえませんか?」

「ほう。言うではないか。期待させておいて、裏切ったら食事は奢らんぞ」

「銀座で最高級のお店に連れて行きたくなると思いますよ」

「大きく出たな。そいつは楽しみだ」


☆☆☆☆☆

 第2回は濾過器です。

 全ての濾過器をご紹介しても混乱すると思いますので、おすすめの上部フィルターのみとします。

 水槽の水を上部の濾過器で濾過する装置で、これを含むセット水槽にすれば割安になります。


 注意してほしいのは濾材と使用方法です。

 使用するのは、安いウールマットという濾材です。

 白い長方形のマットで、これを3枚か、4枚重ねます。

 1番上のマットはゴミ取り用なので、水道水でジャブジャブ洗っても構いません。

 注意するのは残りのマットで、1年間洗ってはいけません。

 絞ると汚い水が出るようになりますが、この状態がベストです。

 交換方法は、半年ごとに1番下の1枚を捨て、上に1枚追加します。

 汚いマットになっていますが、少なくとも1枚残しておくことがポイントです。

 無論、このタイミングで水替えはしません。


 たまにですが濾過器の無い水槽に出会うことがあります。

 バクテリアは水にも水槽のガラス面にも砂利にもいますが、圧倒的に多いのが濾過器です。

 濾過器を使えば、水替えの頻度が驚くほど少なくなります。

 無い方はぜひお試しください。

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