1/1
プロローグ 始まりの書庫
とある少女が二人の役人に連行されていた。
鎖付きの首輪を嵌められ、かつ上半身を緊縛された少女。
普通、この連行方法は、主に罪人に使われる。ただ、彼女に罪はない。
「痛い…………」
砂利道を只管歩かされる少女の足は、今にも悲鳴を上げるほど赤く腫れ上っていた。
しかし、歩かないで立ち止まれば、首輪に付いた鎖に引っ張られ、引きずられていく。
30分後、
謎の扉の前に到着した。少女は首輪を外され、上半身の緊縛も解かれた。
やっと自由の身になれると思ったが、そうではなかった――。
役人Bはすぐに少女に取り押さえた。同時に役人Aが謎の扉を開け、謎の地下施設に少女を放り込む。
少女が地下に倒れたことを確認し、役人ABは扉を閉め始める。
「やめて、閉じないで……」
少女の声は、役人ABに届いている筈だが、一言も喋らず無表情のまま扉を閉め続ける。
やがて、地下を照らしていた唯一の光が薄くなり、空気も吹かなくなってきた。
そして、
ドォォーーン
完全に扉は閉められた。
もう少女の声は外側には聞こえない。この世界から少女の存在は消え去った。