1.ログイン
何も無い真っ白な空間に、無機質な女性らしき機械音声が響く。
《「Fantasy E Swords」を起動中......》
《データ参照......》
《β版「Fantasy E Swords」のプレイデータ「ディアデビル」を確認》
《ようこそ、「Fantasy E Swords」......「FES」の世界へ!》
《β版のデータを引き継ぎますか?》
《Yes/No》
選択肢を選ぶ仮想ウィンドウが現れた。
愚問だ。俺は迷わずにYesに手を伸ばした。
《データの引き継ぎが選択されました》
《Loading......》
《おかえりなさい、ディアデビル様》
《β版引き継ぎ特典があります。ログイン後、ご確認ください》
《キャラクターリメイクが可能です》
《リメイクしますか?》
《Yes/No》
選択肢と同時に、白い髪に紅い目をした、それ以外は普通の16、7歳くらいの見た目の男のアバターが現れた。
これが、俺がβ版で使用していた“ディアデビル”だ。
懐かしいような気もするが、普通にプレイしていると自分の姿なんかあまり気にならないし、むしろ自分のアバターすらこのゲームではおまけのおまけに過ぎない。
《リメイクは行われませんでした》
《リメイク権はプレイスタート後、引き継ぎ特典として1ヶ月まで有効です》
《ゲームプレイに際してアバターに起因する支障があった場合にはご活用ください》
《Soul Swordのデータを確認》
《β版FESからSoul Swordを引き継ぎますか?》
《Yes/No》
これが本命......このゲームの1番の要である、プレイヤーの相棒にして分身、知恵ある武器の魂の剣だ。
......しかし、今度は選択肢のウィンドウが出るのみで、他には何も現れなかった。
だがそれも俺には当たり前のこと。
俺はまたしても、躊躇なくYesを選んだ。
《Soul Swordの引き継ぎ......完了》
《全ての引き継ぎ手続きが終了》
《チュートリアルを受けますか》
《Yes/No》
聞けば、システムや世界観の面でβ版からの変更点が数多くあるらしい。
ここは素直にチュートリアルを受けておこう。
《チュートリアルを開始します》




